2019年06月17日

日常生活マナー|お中元 お世話になった方へ夏のごあいさつ

お世話になっている方への「夏のごあいさつ」として、すっかり定着しているお中元ですが、その由来や、贈る時期となると詳しくは知らない……という方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、お中元の由来や贈る時期などのマナーについて、ご紹介します。


 

「夏のごあいさつ」としてすっかり定着しているお中元ですが、その由来や、贈る時期となると詳しくは知らない……という方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、お中元の由来とマナーについて、ご紹介します。

お中元の由来とは?

「上元・中元・下元」の「中元」だった

お中元の由来は道教の祭日である「三元」にあります。三元のうち「上元」は旧暦1月15日、「中元」は旧暦7月15日、「下元」は旧暦10月15日。つまり、中元は日本でいうお盆と同じ時期の祭日だったのです。このことから、日本に伝わった中元は、お盆の由来である盂蘭盆会(うらぼんえ)の行事と一体になっていきます。

お盆とも関連して生まれた贈り物の習慣

お中元として贈り物をする習慣も、江戸時代頃に、お盆と関わりあって生まれたものでした。お盆には「ご先祖様へお供え」をしますが、それと併せて「お世話になった人に贈り物」をする習慣が生まれ、お中元と呼ばれるようになったのです。

お中元を贈る時期は地域によって違う

 

贈る時期は東日本が「7月前半頃」、西日本は「8月前半頃」

中元は暦によって日が決まるので、新暦を用いることが多い東日本では「7月15日」、旧暦を用いることが多い西日本では「8月15日(旧暦の7月15日)」が中元とされています。
贈り物の時期も、本来は東日本が「7月初めから15日頃まで」、西日本が「8月初めから15日頃まで」となっています。ただ、地域を越えたお中元のやり取りも多い昨今では、「7月初めから15日頃まで」が標準とされるケースも多いようです。贈り物にかける熨斗は紅白蝶結びの水引がついたもの、表書きは「御中元」とします。ちなみに、本来の時期よりも遅れて贈る場合は、8月8日(立秋)頃までは表書きを「暑中御伺」、それ以降から9月上旬までは「残暑御伺」として贈ることが多いようです。

本来は持参するもの、ただ最近は配送も多い

お中元は、本来お世話になった方へ直接お持ちするもの。ひと昔前は、和服姿に風呂敷包みを抱え、日傘を差して往来を歩く……といった場面が、お世話になった方へお中元を届ける様子として、広告などでもよく見られたものでした。
もちろん現在も直接お中元を持参する文化は残っていますが、昔に比べて配送の環境が整ってきたことや、飲み物や果物など重くかさばる品が贈り物の定番となっていることもあり、配送でお中元を届けることも多くなっています。

配送の際は「送り状」や「お礼状」があるとより丁寧なやり取りに

配送でお中元を届ける文化とともに広がったのが、贈り物が届く前に贈り主から到着予定などを伝える「送り状」と、もらった方がお礼の気持ちを伝える「お礼状」です。電話やメールでも用は足りますが、やはりハガキで一筆したためるのが、より丁寧だとされています。

喪中でもお中元はやり取りしてよい

お中元はお祝いではなく季節のごあいさつ

喪中には、お祝いごとを差し控えるのが基本ではありますが、お中元、そしてお歳暮は「季節のごあいさつ」ですので、喪中に贈っても、受け取ってもかまいません。ただ、不幸のあった直後、まだ慌ただしい時にお中元を贈るなど、喪中の方の負担になるようなことは避けたいところです。

単なるお付き合いと考えていたお中元も、由来を知るとなんとなく新鮮に感じられるものですね。この夏も、お世話になった方に元気よく夏を乗り切っていただけるよう、素敵な贈り物を選んでみてはいかがでしょうか。