2019年06月10日

間違いやすい日本語|「御来迎」「代替機」 読み方を間違えやすい言葉

今回は、御来光と読み方を混同しやすい 「御来迎」と、一時的に貸与される代わりの機器「代替機」の二つの言葉をご紹介します。それぞれ読み間違いやすい言葉ですが、意味やなりたちを知れば、正しい読み方も頭に入りやすくなります。


今回は、読み間違いやすい言葉をご紹介。それぞれの言葉の意味やなりたちを知れば、正しい読み方も頭に入りやすくなります。

御来光と読み方を混同しやすい 「御来迎」

 

登山を趣味にされている方なら、一度は富士山などの高山の頂上から、荘厳な日の出を見てみたいと思う方が多いのではないでしょうか。高山の頂上で見る日の出を「御来光(ごらいこう)」といいます。そして、この御来光とよく混同されている言葉に「御来迎」があります。高山で見られる、神秘的な現象を指す言葉なのですが、まずは、この読み方のクイズから。

問.「御来迎」の読み方は?

1. ごらいこう
2. ごらいごう
答え 答えは2の「ごらいごう」です。ただし、近世中頃までは「ごらいこう」とも読みました。

「御来迎」とは、そもそも仏教用語の「来迎」の尊敬語です。来迎とは、浄土信仰において、臨終の時に阿弥陀仏や菩薩が浄土の世界から迎えにくること。日本では平安時代中期から鎌倉時代にかけて、浄土信仰が盛んになった時代に数多くの来迎図が描かれていて、阿弥陀仏が菩薩を従え、紫雲に乗って人間世界に飛来する図柄が多く残されています。死後、極楽浄土へ行くことは多くの人々の願うところとなり、そうした来迎への憧れからでしょうか、江戸時代には仏様が後光に包まれて現れる様子を模した「御来迎」という名のおもちゃが作られます。竹筒から小さな仏像が現れ、畳まれた黄色い紙が、仏像の背後で開いて後光となる仕掛けが見どころのおもちゃです。そしてもうひとつ、仏様が後光をさして現れる様子を思わせる、高山で見られる「ある現象」も「御来迎」と呼ばれているのです。

高山の頂上付近で、日の出や日没時、太陽を背にして、雲や霧を見ると、霧に自分の影が大きく映り、影の周りに色のついた美しい光輪が現れることがあります。大気中の水滴に光が回折して生じる現象です。これを日本では、阿弥陀仏が光背を負うのになぞらえて、「御来迎」というのです。他にも、山の御光、仏の後光などの呼び方があり、海外ではグローリー、ブロッケン現象ともいわれています。

高山で見られる光景を指す言葉として、「御来迎」は主にブロッケン現象のことをいいますが、辞書によっては、高山で拝む日の出も指すとしています。また、「御来光」のほうも、主に高山の頂上で見る日の出のことをいいますが、ブロッケン現象のことも指すとされており、2つの言葉は混同して使われています。しかし、読み方はそれぞれ違いますから、間違わないように気をつけたいですね。

一時的に貸与される機器を何という? 「代替機」

 

故障したり、破損した機器を修理する際に、メーカーや販売元から、代わりの機器を一時的に貸与されることがあります。これを「代替機」というのですが、ここでクイズです。

問.「代替機」の読み方は?

1. だいかえき
2. だいがえき
3. だいたいき
答え 答えは、3の「だいたいき」です。「替」は訓読みとして「かえ」と読んだり、「両替」のように「がえ」と読んだりするので、1や2だと思っていた方もいるのではないでしょうか。正しくは、「交替」のように音読みの「タイ」をあてる「だいたいき」なのです。「代(ダイ)」も「替(タイ)」も、どちらも音読みの熟語と覚えておくと良いでしょう。

代替は「それに見合う他のもので代えること」を意味する言葉です。代替輸送、代替バス、代替燃料、代替地などといった言葉で使われています。しかし、仕事でこの言葉を使う方以外は、比較的なじみの少ない言葉でもあり、また「だいたい」という音は「大体」をイメージさせるといったこともあり、「だいかえ」「だいがえ」といういい方もよくされているようです。しかし、正しくは「だいたい」と読みます。日ごろよく使う機器が万一故障した時のために、覚えておくといいですね。ちなみに、携帯電話やスマートフォンなどの場合は、故障時の一時的な貸与端末のことを、「代替機」の他、「預託機」ともいいます。こちらも合わせて知っておくと、便利ですよ。