2019年04月30日

平成特集|平成で変わった電話のマナー

平成時代は、携帯電話やインターネットの普及で通信事情も大きく変化し、コミュニケーションのマナーも新しくなっていきました。今回は、平成の固定電話から携帯電話への電話事情の変遷や、それに伴って変化してきた電話のかけ方や受け方のマナーについてご紹介します。


 

平成時代は、携帯電話やインターネットの普及で通信事情も大きく変化し、コミュニケーションのマナーも新しくなっていきました。今回は、平成の電話事情の変遷や、それに伴って変化してきた電話のマナーについてご紹介します。

固定電話から携帯電話へ、平成時代の電話事情

平成初期は個人への電話も家庭や職場で取り次ぐのが一般的

平成初期は、個人所有の携帯電話はまだ一般的ではありませんでした。特定の人と直接電話をする場合でも、まずは家庭や職場の固定電話へかけて、応対してくれた人に取り次ぎを頼むという流れが当たり前だったのです。
当時は子供たちも、ある程度の年齢になると「もしもし、○○様のお宅ですか。私は△△と申します。□□様はいらっしゃいますか」といった電話のかけ方や、「もしもし、□□です」「△△は外出しております」といった電話の受け方を自然と学ぶものでした。

携帯電話の普及で電話は「本人へ直接かける」ものに

平成初期を過ぎた1990年代後半、携帯電話がそれまでのレンタル制から端末購入制に移行したことで、一般個人にも徐々に普及し始めます。これによって、電話は応対してくれた人に取り次いでもらうものではなく、いつでも本人へ直接かけるものになっていきました。

平成時代に変化した電話のマナー事情

 

「○○様のお電話でしょうか」「今お電話しても大丈夫ですか」

個人に電話をかける携帯電話では、電話口での話し方も変化しました。電話は特定の場所にあるわけではなく、個人が持ち歩いていますので、相手や番号に間違いがないか確かめるための声かけは「○○様のお電話でしょうか」が一般的になりました。
また、相手がいつでも応対でき、どこにいるかわからないことから、電話に応対する時間がどの程度あるのか、通話をしてもかまわない場所にいるかを確認するため「今お電話しても大丈夫ですか」と声をかけることも多くなりました。

「通話する場所」「着信音設定」などに関するマナーが生まれる

固定電話は電話をしてもかまわない場所に設置されるのが一般的ですが、携帯電話はいつどこでも使用できるようになっています。
そこで生まれたのが、電車内や病院内、映画館やコンサート会場、図書館などといった公共の場所での新たなマナーです。会話の声や着信音、画面の光などがほかの人の迷惑にならないよう、設定を変更したり、通話や電話自体の使用を控えたりするのがマナーとされるようになりました。

「携帯電話番号」は固定電話番号よりも慎重に扱うように

いつでも個人で応対可能な携帯電話番号は、固定電話番号よりも重要なプライベート情報とされるようになりました。個人間ではもちろん、ビジネスの場であっても、本人以外が許しなく番号を他人に教えたりすることはタブーとされています。

「固定電話での振る舞い」を知らない若者も増えている

携帯電話の普及から20年以上が経ち、固定電話を経験するよりも前に、自分の携帯電話を持つ若者も増えてきました。また、固定電話は悪質な電話営業などの標的になりやすく、子供には電話を取らせない家庭も多くなりました。つまり、昔は自然と学んでいた電話応対の方法を知らないまま、大人になることも珍しくなくなっているのです。
一方、ビジネスの場ではまだ固定電話を使う機会も多いですから、最近では新社会人に、固定電話の使い方について改めて教えるといった場面もあるようです。

平成後期は、電話に加えて、Eメールなど文字情報での通信も一般的になってきました。それによって「ビジネスの場でみだりに電話をかけると相手の時間を奪うことになり、記録も残らないので、メールで済む用件はなるべくメールで伝える」といった新たな気遣いも生まれています。これからも、新しい通信手段の普及とともにマナーも変化していくのかもしれません。