2016年10月07日

間違いやすい日本語|「小春日和」「微妙」 その使い方、間違っているかも!?

よく使われる慣用句や単語でも、本来の意味が実はまったく別の意味であることも多いもの。今回は、多くの人が間違った意味で覚えていることが多い「小春日和」と「微妙」の二つの言葉の正しい使い方を、クイズ形式でご紹介します。


よく使われる慣用句や単語でも、本来の意味が実はまったく別の意味であることも多いもの。今回は、多くの人が間違った意味で覚えていることが多い言葉を二つご紹介します。

 

小春日和

次のうち、正しい使い方はどちらでしょう?

1:秋も終わりにさしかかり冷え込む時期に、この小春日和はありがたい
2:今日は小春日和といえる暖かさで、春の訪れを感じさせる

冬も終わりかけになると、日差しがポカポカと暖かい日が増えてきます。そんな、もうすぐ春がやってくるのかな、というほどの暖かい日を「小春日和」と言ってしまっていませんか?実は、冬から春にかけての時期に「小春日和」という表現を用いるのは、誤りなのです。
「小春」とは旧暦の10月頃、現在の暦では11月~12月下旬を指します。「小春日和」とは、この時期に迎える晴天で春のような暖かい日のことをいうのです。つまり正解は「1」です。
「春」という字が入っていることから、春が近い季節に使いたくなる言葉かもしれません。しかし「小春」は秋から冬の季節を意味しており、「小春日和」という言葉は冬の季語にもなっています。このことからも、春に使うのは誤りということが分かりますね。
ちなみに、同じ時期に使う言葉として「秋晴れ」という表現もあります。「小春日和」のように暖かい日を表現する言葉と思われがちですが、「秋晴れ」は秋特有のすがすがしく澄み切った、抜けるような晴天のことを指します。つまり暖かいという意味は含まれず、寒くても晴れた日は「秋晴れ」と表現できるので、小春日和とは違う意味になるのです。

 

微妙

次のうち、正しい使い方はどちらでしょう?

1:この絵の色彩はとても微妙だ
2:彼女が着ている服のデザインはいつも微妙なので褒めづらい

どちらの使い方も正しいと思う方が多いかもしれません。しかし「微妙」は本来、「なんともいえない味わいや美しさがある」「細かいところに重要な意味や味が含まれていて簡単には言い表せない」という状態を表現しています。つまり正解は「1」です。
「微妙」を別の言葉で表すと、「絶妙」という表現が近いのではないでしょうか。また、きわどくてなんとも言い表せない様を表現する際にも、「微妙」が使われることがあります。
同じ言葉ではありますが、「2」で使われている「微妙」は表現する対象を「あまりいいものではない」という、本来の意味とは異なるネガティブな意味合いで使われています。現在ではこのように、悪くはないけれど良くもない、どちらかというとイマイチという、やや否定的な意味合いを含む表現、または否定的な気分を表す際にはっきりと言いたくない時に多く使われています。さらに軽い意味合いを与えるため、「ビミョー」というカタカナ表記での俗語のような使い方も存在しています。
どちらかというと悪い、という表現がなぜ「微妙」と表現されたのかには諸説ありますが、本当ははっきりと「良くない」と言いたいけれど、断言すると意味が強くなってしまうため、「微妙」という言葉を使って意味合いを和らげている、という説があるそうです。

この言葉も誤用の意味が一般的に広まっており、本来の意味を知らない方が多いため、正しい使い方をすると誤解を生むことがあるかもしれませんのでご注意を。会話のなかで使った後、相手の反応を見ながらさりげなく正しい意味を教えてあげるといいかもしれませんね。