2018年12月11日
元旦の習慣のひとつとして、家族で年始の挨拶をしてお屠蘇(おとそ・長寿祈願のお酒)を飲み、おせち料理とお雑煮をいただくことがあります。一昔前は当たり前の光景でしたが、年末年始に旅行やレジャーへ行くことも増えた最近では、おせちを自宅で用意しないお宅もあるようです。今回は、昔ながらのおせち料理のいわれやマナーについて、ご紹介します。
元旦の習慣のひとつとして、家族で年始の挨拶をしてお屠蘇(おとそ・長寿祈願のお酒)を飲み、おせち料理とお雑煮をいただくことがあります。一昔前は当たり前の光景でしたが、年末年始に旅行やレジャーへ行くことも増えた最近では、おせちを自宅で用意しないお宅もあるようです。今回は、昔ながらのおせち料理のいわれやマナーについて、ご紹介します。
“ごちそう”といえば、素材の鮮度が良いものを思い浮かべがちですが、おせち料理の定番には生ものがなく、どれも日持ちのする製法で作られています。これは、「三が日はお雑煮を作る以外の炊事をできるだけ避ける」という慣習に従い、その間日持ちする料理を用意するからなのです。なぜこのような慣習があるのかというと「お正月の火は聖なるものなので、煮炊きをできるだけ避ける」ため、また「三が日の間は家事を休めるようにする」ためともいわれています。
お正月をはじめ、お祝いの席で使う箸は、普段使いの箸と違い、両端が細くなっています。細くなっている片方の端は自分、もう片方は神様のためといわれ、神様と共に食事をするという意味が込められているのです。
お重も、それぞれの段に入れるものが決まっています。三段重の場合、一の重(一段目)は「祝い肴」と呼ばれる黒豆や栗きんとん、田作り、紅白蒲鉾、昆布巻き、たたきごぼうを、二の重(二段目)は酢の物や焼き物、三の重には煮物を入れます。
四段重の場合は、三の重に焼き物、与(四)の重に煮物を入れます。五段重も与の重までは同様で、五の重は“控えの重”として空にしておきます。これは、「これからまた繁栄して、増える余地がある」といった意味合いなのです。
年始に健康長寿を願って飲むお屠蘇は、本来は年少者から飲むと決められています。これには、年長者へ若さを渡すといった意味合いがあるそうです。ちなみに、厄年の人がいる場合は最後に飲み、皆から厄払いの力を分けてもらう、ともいわれています。
お雑煮のお餅も、最近は食べたい数だけ入れることも多いようですが、本来は「食い上げる」といって、元旦からひとつずつお餅を増やしていくのが縁起のいい食べ方とされます。
現在は洋風や中華風など、さまざまなアレンジも見られるおせち料理ですが、昔ながらの品々にはそれぞれ願い事や縁起を担ぐいわれがあります。続いては、そのいわれについて見ていきましょう。
ごちそうが詰まったお重が並ぶ様子は、やはりワクワクするものです。味や見た目はもちろんですが、今年はそれぞれの料理に込められた意味も噛みしめながら、おせちをじっくりと味わってみてはいかがでしょうか。