日本語の敬語表現は難しいもの。尊敬語と謙譲語の使い分けは言うに及ばず、丁寧に言ったつもりが実は失礼になっていた……ということも。今回はよく使う言葉ながら、実は使い分けが必要な、マナーにまつわる言葉を紹介します。
2018年08月24日
日本語の敬語表現は難しいもの。尊敬語と謙譲語の使い分けは言うに及ばず、丁寧に言ったつもりが実は失礼になっていた……ということも。今回はよく使う言葉ながら、実は使い分けが必要な「ご賞味ください」と「ご査収ください」をクイズ形式でご紹介します。
日本語の敬語表現は難しいもの。尊敬語と謙譲語の使い分けは言うに及ばず、丁寧に言ったつもりが実は失礼になっていた……ということも。今回はよく使う言葉ながら、実は使い分けが必要な、マナーにまつわる言葉を紹介します。
大切な人においしいものを味わってほしい、とおすすめの食品を贈る時のことを想定してみてください。何も言わずに贈るのは味気ないですから、そういった際には何か一言メッセージを口頭で伝えたり、書き添えることもありますよね。
さて、ここでクイズです。
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答えは、2の「間違い」です。
実は「ご賞味ください」は目上の人には使うのを避けたほうがよい言葉。食べてほしい気持ちを伝えるなら「お召し上がりください」と書いたほうがよいのです。では、「ご賞味ください」はどのようなときに使う言葉なのでしょうか。
「賞味」は、食べ物のおいしさをよく味わいながら食べること。「賞」という漢字には、「観賞」のように「めでる、楽しむ」という意味もありますが、「賞賛」のように「ほめたたえる」という意味もあります。つまり、「ご賞味ください」には「味を楽しんでください」の意味のほかに、ほめたたえながら味わってください、というニュアンスも含みますから、自分の贈り物を差し出すときに、目上の人にかける言葉としては失礼になるのです。
一方、飲食店での「どうぞご賞味ください」は、お店や生産者などが、自信をもってお客様におすすめするときには使ってよい言葉とされています。また自分が食す場合、「心づくしのお料理、賞味いたしました」などというのは「おいしさをよく味わっていただきました」と伝えることになるので、正しい使い方です。
もう1つ「どうぞご笑味ください」という伝え方もあり、こちらは、「粗末な品ですが笑ってお召し上がりください」と、謙遜の気持ちを込めて使用する言葉なので、目上の方に使ってもOKです。ただし、使えるのは手紙など文書で書く場合のみとなります。
ビジネス敬語としてよく使われる「ご査収ください」。確認をお願いする言葉として便利なので、なんとなく使うことも案外多いかもしれませんが、その正しい意味と使い方はご存じですか?
では、クイズです。
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答えは、2の「間違い」です。
ここでは日程を変更したのでよく確認してください、と言いたいのでしょうが、ご査収は、ただ確認を求める言葉ではないのです。
「査収」とは、金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ることをいいます。つまり「ご査収ください」はビジネスメールにおいては、相手に対して「添付書類を確認する」作業を依頼すること。確認の必要な書類を添付していないときに使うと、相手は一体何を確認すればいいのかとまどってしまいます。
添付するものがなく、メール文で書いたことをよく確認してほしいときは、先ほどの例文でいえば、「〇月〇日で開催することになりましたので、スケジュールをご確認ください」などと、何を確認してほしいのかもはっきりさせて書くと伝わりやすいです。また、実際に添付書類があるときも、ご査収という言葉に頼りすぎず、「ファイルを添付しましたので、内容をご確認ください」と書くほうが丁寧かもしれません。