2023年05月16日

健康法|「園芸セラピー」植物を育てて健やかに過ごそう

庭の花や木々、家庭菜園の世話をすると、心穏やかな時間を過ごすことができ、園芸作業が軽い運動になることがあります。今回は、「園芸セラピー」や「園芸療法」と呼ばれる、ガーデニングを通じた健康法をご紹介します。


庭の花や木々、家庭菜園の世話をすると、心穏やかな時間を過ごすことができ、園芸作業が軽い運動になることがあります。今回は、「園芸セラピー」や「園芸療法」と呼ばれる、ガーデニングを通じた健康法をご紹介します。

 

「園芸セラピー」とは

 

花の香りをかいだり、庭で土いじりをしたり、街路樹の葉ずれの音を聞いたりして、気持ちが軽くなり、リフレッシュした経験はありませんか?植物には心身を癒やす作用があるといわれています。園芸セラピーとは、植物を育てることを楽しみながら、身体や心、知能などを整え、健やかな毎日を過ごす健康法。高齢者の認知症予防や、不安を抱える人たちの社会復帰サポートなどにも活用されています。

園芸療法や園芸セラピーという考え方は、ガーデニング大国であるアメリカで確立。20世紀なかばには、第二次世界大戦やベトナム戦争からの帰還兵に対する身体的なリハビリや心の癒やしの手段として取り入れられ、発展したそうです。

一方、ガーデニングが国民的な娯楽として日常に根付いているのがイギリス。1699年に発行された定期刊行物『イングリッシュ・ガーデナー』では、園芸と健康の関連について紹介されています。イギリスでは園芸への関心がもともと高いため、福祉や医療などの分野に自然と溶け込んでいったそうです。

日本には1990年代はじめに紹介され、各地で活動が広がり始めました。さまざまな疾患や障害に対する健康法として、病院や介護の現場などで取り入れられています。

園芸セラピーのメリット

 

続いて、園芸セラピーが心身に与えてくれる健康と癒やしの効果を見ていきましょう。

心の癒やし効果

植物を育てると五感が刺激され、心が癒やされるといわれています。土の感触、芽吹いたばかりの緑や咲き誇る花々の色彩、風の音など、ガーデニング作業では五感がフルに使われます。なかでも花やハーブの香りで嗅覚を刺激することは、記憶を呼び覚まし、ストレスを抑制するとも考えられています。

運動不足の解消

ガーデニングには、土をいじる、種をまく、水をあげる、雑草を抜く、運搬するなどの作業があり、自然と全身を動かすため無理なく運動ができます。庭や菜園を歩いたり、作業で手足を伸ばしたり、座ったり立ち上がったり、適度な運動によって新陳代謝も高まります。屋外で日光を身体いっぱいに浴びることで、ビタミンDが体内につくられる効果もあります。

成長を見守る楽しみ

植物を育てることは、成長を見守ることでもあります。植物の生育に心が躍り、満足感や達成感を得ることができます。また、園芸作業そのものを楽しむことで、気分転換やストレス発散、思考力や想像力の向上などの効果も期待できます。

仲間とのコミュニケーション

園芸セラピーはグループで行われることが多く、他者とコミュニケーションをとる機会になります。一緒に植物を育てながら共通の話題で盛り上がり、仲間意識が芽生えることもあるかもしれません。

園芸セラピーは自宅でも始められる?

 

病院や施設などの園芸セラピーは、園芸療法士によってその人の状態や能力に応じてプログラムが組まれ、実践されます。専門家のプログラムのようにはいかないかもしれませんが、ご自宅で始めるガーデニングやベランダでの家庭菜園も、健康法として期待できることは数多くあります。

まずはご自身が園芸セラピーに求める目的は何か考え、意識しながらガーデニングに取り組んでみてはいかがでしょうか。例えば、「疲れ気味の心を癒やしたい」であれば、五感を傾けながらひとつひとつの作業に取り組んだり、「健康的な身体づくり」であれば、日光浴をしながら自然と身体を動かせる庭づくりをしたり、「達成感がほしい」であればベランダや玄関などで手入れが簡単な植物をプランターや鉢で育ててみるのもよいでしょう。

植物を育てることで、ストレスが軽減され、運動不足の解消にもつながる園芸セラピー。植物に寄り添いながら暮らすと、季節の移ろいを繊細に感じられます。ご自宅の好きな場所で、育てやすい草花から始めてみてはいかがでしょうか。