間違いやすい日本語|「圧倒的」「おざなり・なおざり」 微妙な違いで異なる意味を持つ言葉
日本語には、微妙な違いがあり混同しやすい言葉、または似ている言葉同士が、似ている意味を持っていることがあります。今回は、そんな「圧倒的」と「おざなり・なおざり」について掘り下げてみましょう。
日本語には、微妙な違いがあり混同しやすい言葉、または似ている言葉同士が似ている意味を持っていることがあります。今回は、そんな「圧倒的」と「おざなり・なおざり」について掘り下げてみましょう。
圧倒的
次のうち、正しい使い方はどちらでしょう?
2:今回の試合は、圧倒的な差で敗北を喫してしまった。
・
・
・
勝負事などで、相手に対してかなりの差をつけることを「圧倒的」と表現しますよね。しかし相手との差が開いており、なおかつ今回のクイズのように、負けている時に「圧倒的」を使うのは、実は誤用なのです。
「圧倒的」という表現には、他より段違いで勝っていること、比べ物にならないほど優れていることという意味があります。つまり、相手より劣っていたり、勝負事などにおいて大差で負けた場合に使用するのは間違い。ですから、この正解は「1」です。
ネガティブな意味でもこの言葉を使いがちなのは、「圧倒的」という言葉が「他と比較して大差がついている」だけという意味で捉えられているからかもしれませんね。「2」の例文での「圧倒的」も「大差がついている」という意味で使われていますが、敗北した場合は「決定的な差で」とするのが正しい表現といえるでしょう。
圧倒的と似た意味として使われる言葉に「圧倒」と「圧巻」があります。「圧倒」は圧倒的同様、他と比べて大きな差をつけて優れていることに加え、他より優れた力で押さえつけるという意味を持っています。一方の「圧巻」は、一つの集団やまとまりの中で優れている箇所や部分のことを指し、圧倒とは微妙に違う意味を持っています。
おざなり・なおざり
次のうち、正しい使い方はどちらでしょう?
2:後片付けを頼んだにもかかわらず彼女は何もせずに帰宅してしまい、私の頼みをなおざりにした。
・
・
・
「おざなり」と「なおざり」、似ている言葉である上に、使い方や意味も区別がつけにくい言葉ではないでしょうか。しかし、この二つの言葉の語源はまったく違うものなのです。
まず、歴史が古い「なおざり」から見ていきましょう。「なおざり」は漢字で「等閑」と書き、平安時代にはすでに使われていたそうです。分解してみてみると、「なお」はそのままの状態、何もしないという意味で、「ざり」は「去り」、または「しない」という意味の「せざり」がもとになっています。組み合わせると「そのままにして去る」という意味になり、それが転じて物事になにも手をつけない、おろそかな扱いを表すようになったそうです。
「おざなり」は「なおざり」より新しく、江戸時代から使われていたのだそう。こちらは、お座敷や宴会の席という意味の「お座」で芸を披露していた人が、客の顔ぶれによって力を入れたり手を抜いたりした様子がもとになっています。「お座」に物の形状を表す「なり(形)」が加えられ、仕事はしているけれどいい加減、という意味を持つ「おざなり」という言葉になったのだそうです。
これらの由来から、「なおざり」は物事を丸々放っておく、または何も手をつけないという意味で、「おざなり」は「手をつけてはいるものの適当にすませる」「その場しのぎにいい加減に扱う」という意味になります。今回のクイズは「何もしていない状態」なので、正解は「2」です。
「おざなり」と「なおざり」でよく使われるのが、「○○な態度」という表現ではないでしょうか。上記の意味を踏まえると、使い方でまったく意味が異なるのがわかりますね。
いかがでしょうか?日本語には似た表現がいくつも存在していますが、今回ご紹介した言葉の場合、使い方ひとつで意図しない意味になることもあります。日本語の正しい意味を知っておくことはとても大切ですね。
関連する投稿
ゴールデンウィークから初夏にかけては、陽気に誘われて過ごしやすい時季です。そこで今回は、これまでご紹介してきた旅記事のなかで、「丸山千枚田」「奥入瀬渓流」「尾瀬国立公園」などの、新緑が美しい自然豊かな観光地や散策ルートをご紹介します。
キャッシュレス決済を利用する方が増えるなか、最も使用されているのがクレジットカード。しかし、これまでクレジットカードをあまり使用されていなかった方や、これからクレジットカードの使用を考えている方には分からないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、いまさら聞けないクレジットカードの使い方や、注意したいポイントについてご紹介します。
語源・由来|「お雑煮」「羽根つき」 正月にまつわるめでたい由来
季節ごとの習わしや行事食は多々あれど、中でもお正月にまつわるものは、多く現代に残っています。今は簡略化されてしまって、そもそもの由来に思いを馳せることは少なくなっているかもしれません。今回は「お雑煮」と「羽根つき」が始まった理由や、言葉の意味をご紹介します。
イベント事のマナー|年の前半の締めくくり「夏越の祓」で、後半も健やかに
6月の終わりに行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年分の穢れを祓って夏を迎え、残りの半年を健やかに過ごすための神事。日本各地の神社で行われ、基本的にどなたでも参列できます。今回は、年の前半の締めくくりである夏越の祓について、また、茅の輪(ちのわ)くぐりのふるまい方についてご紹介します。
散策|美しい渓流や苔に癒やされる川沿い散策「奥入瀬渓流」(青森県)
十和田八幡平国立公園(青森県)を代表する景勝地のひとつが「奥入瀬(おいらせ)渓流」です。十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流は、国指定の特別名勝、天然記念物にも指定されています。四季折々の自然が満喫でき、遊歩道もしっかり整備されています。高村光太郎作の乙女の像でも知られる十和田湖と合わせての散策がおすすめで、ガイド付きのネイチャーツアーも開催されています。「星野リゾート奥入瀬渓流ホテル」で大人で優雅なリゾートも楽しめます。
最新の投稿
健康メニュー|暑くなる前に「煮込まないスープ」のレパートリーを増やそう
「煮込まないスープ」は、短時間で手軽に作れるので忙しい朝や暑い時期にもぴったりだと最近話題のメニューです。今回は、煮込まないスープを作る際に押さえておきたい煮込み時間を短縮するためのコツやおすすめの具材・味付けのバリエーションを解説します。
健康メニュー|「春雨」の名付け親は日本! その由来とおいしい活用法
「春雨」と聞くと、天気と食材のどちらを思い浮かべますか。実はこの二つは、まったく無関係ではありません。今回は、身近な食材である春雨の名前の由来や特徴、便利な使い方など、知っておきたい豆知識をご紹介します。
洋食店や喫茶店など、幅広い飲食店で提供されているナポリタンは、パスタの本場イタリアには存在しない日本生まれのメニューであることをご存じでしょうか?今回は、老若男女に愛されているナポリタンの発祥や名称の由来、ご当地メニューとしてのナポリタンなどについて解説します。
2026年4月1日から改正道路交通法が施行され、自転車の交通違反に「交通反則通告制度(いわゆる青切符)」が導入されます。今後は、交通事故の原因となるような、悪質・危険な違反であった時には反則金が科されることになります。「自転車だから大丈夫」と思っていた行為が、実は違反だった――そんなケースもあるかもしれません。この機会に、自転車の交通ルールをあらためて確認しておきましょう。
健康メニュー|せいろ蒸し 素材のうま味や栄養を逃さずおいしく
食材を並べて蒸すだけの「ほったらかし調理」で、素材のうま味や栄養を逃さず調理できる「せいろ蒸し」は、ヘルシーな調理方法として人気が再燃しています。今回は、せいろ蒸しの基本とせいろの選び方、おすすめメニューをご紹介します。
