おみそ汁|乗せるだけで栄養アップ、お手軽「しらすのおみそ汁」
一年中食べられるしらすにも旬があり、特に春のしらすは美味とされています。脇役で登場することが多いものの、慢性的にカルシウム不足な現代人にとってはとてもありがたい食材なのです。今回はしらすの栄養や、釜揚げ・しらす干しといった名称の違い、そして、乗せるだけで簡単に栄養アップができる、「しらすのおみそ汁」をご紹介します。
一年中食べられるしらすにも旬があり、特に春のしらすは美味とされています。脇役で登場することが多いものの、慢性的にカルシウム不足な現代人にとってはとてもありがたい食材なのです。今回はしらすの栄養や、釜揚げ・しらす干しといった名称の違い、そして、いつものおみそ汁に変化をつける「しらすのおみそ汁」をご紹介します。
4~5月は甘みのある「春しらす」の季節
一般的に出回っている「しらす」は、カタクチイワシやマイワシ、ウルメイワシの稚魚のこと。もっとも流通しているのはカタクチイワシで、漁の最盛期は春と秋です。春のしらすは小ぶりですが甘みがあって、特に4~5月のものは「春しらす」と呼ばれ喜ばれています。一方、秋のしらすは脂がのっていて、こちらも美味です。
ちなみに、なかなか見かけることはないのですが、しらすがかえって(=成長して)イワシらしくなってきたものを「かえり」といい、「かえり」になる前の大ぶりのしらすもあります。こちらはしらすと同じくらい身が白く、しらすよりも味が濃い珍品です。
「しらす」の名は、江戸時代に法廷の役割をしていた白い砂利を敷き詰められた「お白州」からとも、また、湯がいた時に身が白くなるので「白い子→白子→しらす」となったともいわれ、諸説あるようです。
生しらす、釜揚げ、ちりめんじゃこの違い
しらすはいろいろな名称で売られていますが、その違いは主に乾燥度合いです。それぞれの特徴をみていきましょう。
■生しらす
加工をしていない、生の状態のしらすです。しらすは鮮度が落ちるのがとても早いので、漁場が近い飲食店など、食べられる場所は制限されます。また、地域によって定められた禁漁期間中や、悪天候によって船が出ない日も出回りません。最近では家庭用に冷凍した生しらすが販売されることもあります。
■釜揚げしらす(釜揚げちりめん)
生しらすをゆでたもの。ふっくらしっとり、やさしい塩味がついています。春しらすの時期に多く出回ります。
■しらす干し(天日干しちりめん)
釜揚げしらすをさらに天日に干したもの。中干ししらす、太白ちりめん・やわ干し・普通干しなど、地域や乾燥の度合いでさまざまな呼び方があります。生しらすとくらべて7割程度の水分量です。
■ちりめんじゃこ(半乾燥しらす・上干ちりめん)
しらす干しをさらに干して、カラカラにしたもの。ほかのタイプより保存がききます。水分量が少ないので冷凍してもかたまりにならず、長期保存したい場合はこちらを冷凍するのがおすすめです。
全世代で不足するカルシウムがたっぷり
しらすの栄養といえば代表的なのはカルシウム。骨や歯の成長のために、また、骨粗しょう症の予防に摂りたい栄養素です。カルシウムの吸収を助けるビタミンDも含まれているので、効率的にカルシウムを摂取できます。
カルシウムが健康な骨や歯のために必要なことは広く知られていますが、なんと日本人は数十年間にわたってカルシウム不足(国民栄養調査)といわれています。成人の場合は1日あたり600ミリグラムが必要とされていますが、平成30年度の調査でも平均505ミリグラムにすぎません。
しらすは骨ごと食べるので、魚の栄養がぎゅっと詰まっています。100グラムあたりのカルシウム含有量は約520ミリグラム(半乾燥品)。1日にしらすおろし1回分のしらすを摂れば、平均的な方は目標の600ミリグラムに届く計算です。
カルシウムが不足すると、「まぶたがピクピクする」「運動していないのに足がつる」「もの忘れ」「イライラ、興奮する」などの不調がみられます。心あたりのある方は、カルシウム不足かも?と疑ってみましょう。
いつものおみそ汁に変化を 「しらすのおみそ汁」
しらすはカルシウム不足の現代人にとってありがたい食材ですが、そのまま食べられる便利さにも関わらず、食卓にあがることは減っているような気がします。そこでおすすめしたいのが、できあがったおみそ汁にしらすを乗せるだけの「しらすのおみそ汁」。いつものおみそ汁に変化がでますし、カルシウム不足も補えます。
春しらすの時期なら、生しらすをゆでただけの釜揚げしらすがおすすめ。おみそ汁の具は、同じく春においしいキャベツがおすすめ。柔らかい葉としらすが絡んでとても春らしい1品になります。しらすの量はお好みですが、カレースプーン1杯くらいがちょうどよいでしょう。追加でぜひ試していただきたいのが「仕上げにごま油をひとたらし」。湯気と一緒にふわっと広がる香ばしい香りが、食欲をそそります。
今回は春しらすと春キャベツを合わせましたが、おみそ汁の出汁はかつお節や昆布といった海のものですから、たいていのおみそ汁はしらすとの相性はいいはずです。しらすは一年を通して手に入るので、そのときどきの野菜のおみそ汁にプラスして、おいしくカルシウム補給してくださいね。
関連する投稿
朝食は、1日のスタートを切るための大事な栄養源です。できるだけ栄養バランスのとれたヘルシーメニューを摂りたいものですが、毎朝続けるのはなかなか難しいと感じている方は多いのではないでしょうか。今回は、少しの工夫で朝食をヘルシーにするコツをご紹介します。
春の旬の食材が味わえる「郷土寿司」。古くから保存食としてや、お祭りやお祝いの席で食べられてきた趣のある料理で、地域ごとにさまざまな個性を持っています。今回は、長く愛され続けてきたその歴史や味わいについて詳しくご紹介します。
日々の食卓を彩る、上品な味わいの「お吸い物」。起源は奈良時代まで遡り、当時の文献にはお吸い物の元となった「羹(あつもの)」の記載が残っています。室町時代には「吸い物」と呼ばれるようになり、江戸時代には具材の数が増え、季節ごとに趣向を凝らしたお吸い物が登場したといわれています。今回はお吸い物の基本から主役となる具材、お吸い物をいただくマナーをご紹介します。
健康メニュー|頭に体にだんぜんヘルシー! 手軽に魚料理を取り入れるコツ
魚を食べることは体にいいと分かっているのに、調理の手間や骨が苦手といった理由で敬遠する方も多いよう。実際、どの世代でも性別に関わらず魚の摂取量は減少しています。そんな今だからこそ知ってほしい、魚を食べることのメリットや、手軽に食事に魚を取り入れるコツをご紹介。今より少しだけ魚を食べることからはじめましょう!
野菜の豆知識|おいしい柑橘のキーワード「タンゴール」って知ってる?
柑橘類にはさまざまな品種がありますが、みかんやオレンジという異なる品種をかけ合わせた「タンゴール」は、それぞれの柑橘類の特徴を持ち合わせた柑橘類です。今回は、タンゴールの基本と代表的なタンゴールについて解説します。
最新の投稿
朝食は、1日のスタートを切るための大事な栄養源です。できるだけ栄養バランスのとれたヘルシーメニューを摂りたいものですが、毎朝続けるのはなかなか難しいと感じている方は多いのではないでしょうか。今回は、少しの工夫で朝食をヘルシーにするコツをご紹介します。
コミュニケーションの大切さや、心身の健康維持に効果的なポイントをご紹介します。
春の旬の食材が味わえる「郷土寿司」。古くから保存食としてや、お祭りやお祝いの席で食べられてきた趣のある料理で、地域ごとにさまざまな個性を持っています。今回は、長く愛され続けてきたその歴史や味わいについて詳しくご紹介します。
華やかで愛情を表現する花の代表格といえる「バラ」。バラは5~6月に咲くのが一般的ですが、品種によっては1年を通して楽しめるのも特徴です。今回は、バラが咲く時期やバラの花言葉、さまざまな健康効果も期待できるバラ茶やバラの香りについてご紹介します。
日々の食卓を彩る、上品な味わいの「お吸い物」。起源は奈良時代まで遡り、当時の文献にはお吸い物の元となった「羹(あつもの)」の記載が残っています。室町時代には「吸い物」と呼ばれるようになり、江戸時代には具材の数が増え、季節ごとに趣向を凝らしたお吸い物が登場したといわれています。今回はお吸い物の基本から主役となる具材、お吸い物をいただくマナーをご紹介します。