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語源・由来|「紅一点」「朝飯前」 語源をたどってわかる、昔の文化

語源・由来|「紅一点」「朝飯前」 語源をたどってわかる、昔の文化

言葉の語源を掘り下げていくと、昔の風習や人々の生活などさまざまなものが関係しており、調べれば調べるほど興味深いものです。今回は、中国の詩を語源とする「紅一点」と、朝食前の様子を語源とする「朝飯前」をご紹介します。


言葉の語源を掘り下げていくと、昔の風習や人々の生活などさまざまなものが関係しており、調べれば調べるほど興味深いものです。今回は、中国の詩を語源とする「紅一点」と、朝食前の様子を語源とする「朝飯前」を取り上げます。

紅一点

「彼女はこのチームの紅一点の存在だ」のように、「紅一点」とは多くの男性の中に一人だけ女性が混ざっている状態、または多くのものの中でひとつだけ異彩を放っているものという意味を持ちます。
この表現の由来は、中国・北宋の政治家であり詩人の王安石(おうあんせき・作者不詳との説もあり)による詩「詠柘榴(ざくろをよむ)」にあります。この詩の中に、「一面緑の草むらの中に咲く一輪のザクロ」という意味の「万緑叢中紅一点(ばんりょくそうちゅうこういってん)」という句があり、これが「紅一点」の元になったといわれています。つまり紅一点の「紅」とは、ザクロの赤い花を指しているのです。
王安石の詩は、単純に緑の草むらに咲くザクロの花の様子を表したものでした。そこからザクロの花がひときわ目立つ鮮やかな赤色であることが転じ、日本では明治時代以降に、「たくさんある同じものの中でひとつだけ違うもの」という意味が広まったといわれています。
さらに日本では女性が赤系、男性が青系の色という具合に、性別を色にあてて考える文化があります。「紅(あか)」が女性を表す比喩表現のひとつとなっているので、「紅一点」の赤いザクロの花を女性に例えて男性の中にいる一人の女性、という意味を持つようになったという説もあるそうです。
ちなみに王安石の詩では、緑の中に咲くただ一輪のザクロの花について、人を感動させる春の景色はこれだけで十分だ、という内容が記されています。

朝飯前

「朝飯前」とは、とても簡単である、たやすいことという意味で使われる表現です。「このくらいの荷物を運ぶなんて朝飯前だ」のように、「簡単」とほぼ同じ感覚で使われることも多く、余裕でこなすことができることを強調する場合にも用いられます。
では、どうして簡単なことを「朝飯前」と表現するようになったのでしょうか。その理由は、朝食を食べる時を思い浮かべると想像しやすいでしょう。
朝食の前は朝の準備でバタバタしていて、時間に余裕がないことが多いのではないでしょうか。そんな時は、簡単なことしかこなすことができないはず。また江戸時代中頃までの食事回数は、現在よりも少ない1日2回だったこともあり、朝食の前は力が入らないことも多かったといわれています。
このような、力も入らず時間もない朝食の前でもこなせる簡単な仕事のことを「朝飯前」と表すようになったそうです。
朝飯前と同様に簡単なことを意味する表現で「お茶の子さいさい」があります。「さいさい」とは、調子を取るために入れる囃子詞(はやしことば)。「お茶の子」とはお茶と一緒に出される、簡単に食べられる茶菓子という意味や、一部の地方では朝食前に食べる茶粥のことを指すという説などがあります。そこから、「お茶の子さいさい」は「朝飯前」と同じ意味を持つと考えられています。

いかがでしたか?「緑の草むらの中に咲く赤いザクロの花」という風景を思い浮かべるだけで、なんとも風流な気持ちになるものです。その紅を女性に例えるとは、美しい語源ですね。また、同じ意味を持つ「朝飯前」と「お茶の子さいさい」の語源に共通項があるのはとても興味深く、ほかにも同じ意味をもつ言葉の語源を調べてみると、意外な共通点が見つかるかもしれませんよ。

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