散策|日原鍾乳洞(東京都奥多摩) 関東随一、都内にある神秘と幻想の世界
東京都の天然記念物に指定され、関東でも随一のスケールを誇る奥多摩の日原鍾乳洞(にっぱらしょうにゅうどう)。一年を通じて11℃前後の洞内を、整備された通路に沿ってたどります。長さ約800mの幻想的な道のりは、ゆっくりめぐると1時間半~2時間ほどの行程です。かつては山岳信仰で多くの参詣者が訪れた神秘と幻想の世界が、都内で体感できます。
目次
東京都の天然記念物に指定され、関東でも随一のスケールを誇る奥多摩の日原鍾乳洞(にっぱらしょうにゅうどう)。一年を通じて11℃前後の洞内を、整備された通路に沿ってたどります。長さ約800mの幻想的な道のりは、ゆっくりめぐると1時間半~2時間ほどの行程です。かつては山岳信仰で多くの参詣者が訪れた神秘と幻想の世界が、都内で体感できます。
画像提供:日原保勝会
修験道の聖地 日原鍾乳洞
古来より自然崇拝の信仰をあつめる日原鍾乳洞は、ひとつの巨大な石山の中に鍾乳洞があることから、一石山大権現(いっせきさんだいごんげん)と呼ばれ、鎌倉時代から修験道の聖地でした。鍾乳洞全体を社殿とみなして入洞を参詣と呼び、鍾乳石や石筍(せきじゅん※)、石柱には諸仏に見立てた名を付けており、今でも「十二薬師」「香炉岩」などの名前が残っています。
※天井から滴る水滴に含まれた炭酸カルシウムが沈殿し、床面でたけのこ状になったもの
ダイナミックな日原鍾乳洞の眺めは、数十万年以上の時の積み重ねによって生まれたもの。つららのような鍾乳石が3cm伸びるのに約200年、上に向かって伸びる石筍は400年かかるといわれています。鎌倉時代のはじまりは1185年ごろとされていますから、今から831年ほど前のこと。修験者が畏敬をもって眺めた日原鍾乳洞の光景は、今とそれほど変わっていないのかもしれません。
次に、多くのみどころの中から、特に造形美で人気の高い場所をご紹介します。
白衣観音(びゃくえかんのん、びゃくいかんのん)
画像提供:日原保勝会
洞内の中でも、ひときわ大きくそびえる石筍、白衣観音。観音の御出座を思わせる荘厳さがあるとしてこの名がつきました。白衣観音は、日本や中国では三十三観音の一人に数えられ、また、阿弥陀如来(あみだにょらい)の妻といわれています。ちなみに白衣は、僧が着る袈裟や法衣ではなく、在家の者が着る白い衣なのだそう。
金剛杖(こんごうづえ・こんごうじょう)
画像提供:日原保勝会
見ようによっては鈍い黄色の輝きを放つ、細長い石筍。たしかに杖のように見えます。およそ2.5mもの長さがあり、成長するのに要した年月の流れに思うと、自然の歴史の長さに驚かされますね。
死出の山(しでのやま)
画像提供:日原保勝会
狭い洞内を進んでいくと突如視界が開ける大空間に行き当たります。ここが鍾乳洞のハイライト「死出の山」です。怪しげなライトアップもされて雰囲気満点。ここは本当に山の中なの?とあまりの天井の高さに圧倒されます。
仏教における「死出の山」は、死者が行く「冥土の旅」の最初の地点。山道は険しく800里(400km)あるとされ、死者はこの道を一人で7日間歩き、初七日に来世の行き先を決める最初の裁判を受けるのだとか。その後いよいよ三途の川へ……。
日原鍾乳洞では、この先を行くと縁結び観音が祀られています。
日原鍾乳洞へ訪れる際のアクセスと注意事項
画像提供:日原保勝会
鍾乳洞入口付近に駐車場はありますが収容台数は少なく、混雑時(行楽や紅葉シーズンの土日、ゴールデンウィーク、8月の旧盆休み)には1時間~3時間以上待ちの大渋滞となります。午前中に訪れたり、途中からはバスを使うなどがおすすめです。また、落石などによって道が通行止めになる場合もあるので、お出かけの前に公式HPなどをチェックするとよいでしょう。
洞内はとても滑りやすいので、登山靴とまではいかなくとも滑りにくい靴が必要です。天井が低い部分もあるので、帽子をかぶっておくとよいでしょう。夏でも洞内は11℃ほどですので、夏場は軽く羽織るものを持参するすると安心です。また、雨量の多かった日やその後数日は、鍾乳洞の中は大量に水滴が垂れますので、カッパやレインポンチョなどを用意しておきましょう。
大人(高校生含む):700円
中人(中学生):500円
小人(小学生):400円
駐車場
混雑時など、交通整理員配置時は有料
土日・祝日・ゴールデンウィーク・8月中
3時間まで500円
バスの交通
平日 日原鍾乳洞行終点下車 徒歩約5分
休日 東日原行終点下車 徒歩約25分
閉鎖期間
12月30日~1月3日の間のみ
営業時間
4月1日~11月30日:8:00~17:00
12月1日~3月31日:8:30~16:30
このほかにも大きなカエルが佇んでいるような「ガマ岩」、引き込まれそうなほど深い「天井知らず」、儚げで繊細な水滴の反響音を楽しめる「水琴窟(すいきんくつ)」など、見どころをあげればきりがありません。混雑時でなければ、ぜひぜひ広い洞内に立ち止まって目をつぶり、耳を澄ませてみてください。遠くで、また、近くで響く水滴の音がなんとも心地よく感じられます。
※掲載されている情報は平成28年9月現在のものです。
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