
語源・由来|“挙げ句の果て・青天の霹靂”の由来・語源
ごく普通に使っている言葉でも、どうやってできたのだろう、と思う表現はありませんか。 語源をたどってみると、ユニークな由来がある言葉は多いのです。今回は、認知度は高いものの、由来はなかなか知られていない「挙げ句の果て」・「青天の霹靂」の語源をご紹介します。
ごく普通に使っている言葉でも、どうやってできたのだろう、と思う表現はありませんか。 語源をたどってみると、ユニークな由来がある言葉は多いのです。今回は、認知度は高いものの、由来はなかなか知られていない言葉の語源をご紹介します。
挙げ句の果て

「最後の最後に」または「いろいろとやってみた結果」という意味で使われる言葉。「定時に仕事を終わらせたのに、同僚のミスで台無しにされてしまい、挙げ句の果てに残業をする羽目になった」のように使われ、悪い結果が出たときや、悪い結果が予想できる場合に用いられます。
この表現に含まれている「挙げ句」という言葉の意味についてご存じでしょうか。これは、五・七・五・七・七で構成される長連歌、または短歌合作などにおける、最後の「七・七」の部分を指します。歌の最後にあたる部分であることから「物事の最後」もしくは「最終的な結果」という意味に転じたといわれています。さらに「最後」という意味をより強調するために、結末や終わりという意味をもつ「果て」も加えられたともいわれます。 また、「挙げ句」は「揚げ句」または「揚句」と表記されることもありますが、いずれも意味は変わりません。
ちなみに、長連歌の始まりの部分である五・七・五のことを、「発句(ほっく)」といいます。こちらも最初の部分という意味が転じて、競り市において最初に付けられる値段「初値」という意味ももっています。
青天の霹靂

思いもよらない衝撃、予想外のことが突然起こるという意味で使われる表現です。例えば「彼が仕事を辞めるなんて、青天の霹靂だった」のように、まったく考えてなかったことが起こった時に用います。
この表現の由来は、天候にまつわる2つの言葉にあります。1つめは「青天」。この言葉は文字通り、雲ひとつない青空のこと。2つめは「霹靂」。これは雷が激しく鳴る、落雷するという意味を持つの言葉です。つまり、この2つを合わせた「青天の霹靂」とは、青く澄み切った空に突然雷が鳴り響くという、予想もつかない様相を表しているのです。
この言葉が生まれたのは中国・南宋。詩人である陸游(りくゆう)による漢詩『九月四日鶏未だ鳴かず起きて作る』にある句、「青天に霹靂を飛ばす」が由来だそうです。
この言葉でよく間違われるのは、「青天」を「晴天」と表記するケース。晴れ渡った空という意味では「晴天」でも間違いではありません。しかし、「青天の霹靂」という表現は先ほどの漢詩が元になっているため、「晴天」と書くのは誤りなのです。
この表現、実は英語でも似たような表現があります。こちらも天候にまつわる単語が使われていて、「a bolt from blue」と言われます。直訳すると「青い空から雷が現れた」、という意味ですから、「青天の霹靂」と同じような状況ということがわかりますね。
使い方や意味を知っていても、語源や由来までは知らない言葉はたくさんあるもの。語源を知ることで、言葉の歴史を知り、日本語の奥深さが実感できます。
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