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間違いやすい日本語|「手塩にかける」「腹を割る」 人の感情、ふるまいにまつわる間違い

間違いやすい日本語|「手塩にかける」「腹を割る」 人の感情、ふるまいにまつわる間違い

今回は、人の感情、ふるまいにまつわる間違いやすい表現をご紹介します。心を込めて大切に世話をする「手塩にかける」と、心に隠していた考えを打ち明ける「腹を割る」です。言葉の由来とともに、正しい使い方をぜひ覚えてください。


今回は、人の感情、ふるまいにまつわる間違いやすい表現をご紹介します。心を込めて大切に世話をする「手塩にかける」と、心に隠していた考えを打ち明ける「腹を割る」です。言葉の由来とともに、正しい使い方をぜひ覚えてください。

大切に世話をするのは「手塩にかける」? 「手塩をかける」?

器が好きな方なら、「手塩皿」の名をご存じではないでしょうか。その名のとおり、手元に塩を盛る小皿で、「おてしょ皿」とも呼ばれています。しかし、小皿に盛った塩を膳に添え始めたのは、味加減を調えるためというより、不浄を払うためだったといいます。のちに、味加減を調えるために添えられた少量の塩を「手塩」というようになりました。

さて、この「手塩」を使った慣用句のクイズです。

問. 「(     )育て上げた娘」 (  )に入る正しい言葉はどちらでしょう?

1. 手塩にかけて
2. 手塩をかけて

答えは、1の「手塩にかけて」です。
語源が味加減を調える塩であるなら、「手塩をかけて」という表現でもよさそうですが、こちらは誤用なのです。「手塩をかけて」という言い方は、「手をかけて」とも混同しやすく、間違えやすい表現なので注意しましょう。


「手塩にかけて」は、自分でいろいろ世話をすること、また世話をして大切に育てることをいいます。手塩は自分で味加減を調えるためにありますから、自ら面倒を見ることを「手塩にかける」というようになったといわれます。

塩による味の調整というのは、細やかさや繊細さも必要なもの。細心の注意を払って育てることを「手塩にかける」とはうまく言い表したものです。

「○○を割って話し合う」必要なのは口? 腹?

「割る」といえば、「くるみを割る」「スペースを3つに割る」など、ものを分けるイメージが強いですが、実はさまざまな使い方をされる言葉です。「水で割る」なら「他の液体を混ぜて濃度を薄める」という意味ですし、「定員を割る」なら「一定数に達せずに下回る」という意味、「土俵を割る」なら「境界線をはみ出す」という意味になります。そんな「割る」には「心のうちを隠さずにすっかり出す」という使われ方もあるのです。そこでクイズです。

問. 「今日は(  )を割って、とことん話し合いましょう」 (  )に入る正しい言葉はどちらでしょう?

1. 口
2. 腹

答えは、2の「腹」です。
「腹を割る」と「口を割る」はどちらも真実を話すことですが、腹と口とでは意味するところが大きく違うのです。「腹を割る」は「本心を包み隠さず打ち明ける」ことで、一方「口を割る」は「白状する」「自白する」ことをいいます。


それにしても、なぜ「腹」を割ることが本心を話すことになるのでしょうか。実は昔、腹の中には考えや心の動きが収まっていると考えられていました。そこから、「腹」は「意中」「心中」「表に表さずに考えていること」といった意味も持つようになったのです。
例えば、「腹に一物ある人」といえば「心の中にたくらみを隠し持っている人」となりますし、「腹にしまっておいたほうがいい」というのは「心の中にしまっておいたほうがいい」となります。

腹の中、つまり心の中を見せるには、腹を割らなくてはいけないということだったのでしょうか。「腹を割る」という表現には、ただ「本心を語る」という言葉ではたりない、相手への並々ならぬ本気度が込められているような印象を受けます。

最後に余談をひとつ。ウナギの蒲焼きの開き方は関東と関西で異なります。関東は背開きなのですが、これは武士の文化が強い関東では、腹開きは「切腹」の印象があることから好まれなかったからだそう。一方、関西は腹開きです。商人の文化の強い関西では、「腹を割って話す」ことが好まれることから、腹開きが好まれた、という説があるそうです。「腹を割る」という言葉がウナギの蒲焼きの作り方にも影響しているとは、おもしろいですね。

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