
語源・由来|“羽目を外す・眉唾(まゆつば)”言葉の由来
ごく普通に使っている言葉でも、どうやってできたのだろう、と思う表現はありませんか? 語源をたどってみると、ユニークな由来がある言葉は多いのです。今回は、調子に乗って度を越してしまうことを表す「羽目を外す」と、だまされないように用心をするという表現の「眉唾(まゆつば)」の言葉の語源をご紹介します。
ごく普通に使っている言葉でも、どうやってできたのだろう、と思う表現はありませんか? 語源をたどってみると、ユニークな由来がある言葉は多いのです。今回は、認知度は高いものの、由来はなかなか知られていない言葉の語源をご紹介します。
羽目をはずす

調子に乗って、度を越してしまうことを表す言葉です。「旅先でつい羽目をはずして飲みすぎてしまった」のように、調子に乗って想定以上のことをしてしまったという意味で用いられます。
この「羽目」とは何かご存じでしょうか。「羽目」は、馬の口に噛ませる金具の「馬銜(はみ)」が転じた言葉といわれています。馬に乗る時には手綱(たづな)を手にしますが、この手綱とつながっているのが、馬の口に噛ませた馬銜です。つまり馬銜は、手綱を通じて馬をコントロールするための大事な道具なのです。
馬から馬銜をはずすと人間の言うことをきかなくなり、コントロールが難しくなります。つまり、「羽目をはずす」とは、馬銜をはずした馬が自由に動いてしまう様を、人間の度を越した行為に例えたものなのです。
かつて馬は戦争時の戦力となっていたため、馬を思いのままに制御しなければなりませんでした。ただ、当時は縄を馬の首などに巻きつけただけのものしかなく、うまく制御できなかったといわれています。それが馬銜の登場で、馬のコントロールが可能になったため、馬銜は人間と馬の長い歴史の中でも最大の発明と称されています。
馬銜の歴史は大変古く、およそ6000年前に中央ヨーロッパで使われていたものが、世界最古の馬銜だそうです。驚くべきは、基本的な構造は今使われている馬銜と変わらないということ。大変な発明だったといえます。
眉唾(まゆつば)

「彼の転職先が一流企業だなんて眉唾だ」のように、だまされないように用心をするという表現です。また、真偽が確かではないもの、または怪しく感じ疑ってかかることを表す「眉唾もの」という単語としてもよく使われています。
「眉唾」の由来は、二つの説があります。一つは、眉に唾をつければキツネやタヌキに化かされることがないという言い伝えからきた説。昔、キツネやタヌキは、人を化かす時に眉毛の毛の数を数えるといわれていたそうです。そのため、眉に唾をつけて数を数えられないようにすればだまされることもない、という考えが伝えられています。
もう一つの説は、平安時代の豪傑・藤原秀郷(ふじわらのひでさと)が、現在の滋賀県にある三上山(みかみやま)で大ムカデを退治した伝説によるもの。大ムカデの吹く炎で藤原秀郷の眉毛が焼かれそうになった時、藤原秀郷が唾を眉毛につけてしのぎ、さらに矢にも唾を塗って退治した、という内容です。古来より唾には魔力を封じる力があると信じられていたことにも関連しています。
ちなみに、江戸時代までは「眉に唾をつける」と、そのままの表現で使われていたようですが、明治時代に入ってから「眉唾」という短縮された表現に変化したようです。
関連する投稿
ゴールデンウィークから初夏にかけては、陽気に誘われて過ごしやすい時季です。そこで今回は、これまでご紹介してきた旅記事のなかで、「丸山千枚田」「奥入瀬渓流」「尾瀬国立公園」などの、新緑が美しい自然豊かな観光地や散策ルートをご紹介します。
キャッシュレス決済を利用する方が増えるなか、最も使用されているのがクレジットカード。しかし、これまでクレジットカードをあまり使用されていなかった方や、これからクレジットカードの使用を考えている方には分からないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、いまさら聞けないクレジットカードの使い方や、注意したいポイントについてご紹介します。
語源・由来|「お雑煮」「羽根つき」 正月にまつわるめでたい由来
季節ごとの習わしや行事食は多々あれど、中でもお正月にまつわるものは、多く現代に残っています。今は簡略化されてしまって、そもそもの由来に思いを馳せることは少なくなっているかもしれません。今回は「お雑煮」と「羽根つき」が始まった理由や、言葉の意味をご紹介します。
イベント事のマナー|年の前半の締めくくり「夏越の祓」で、後半も健やかに
6月の終わりに行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年分の穢れを祓って夏を迎え、残りの半年を健やかに過ごすための神事。日本各地の神社で行われ、基本的にどなたでも参列できます。今回は、年の前半の締めくくりである夏越の祓について、また、茅の輪(ちのわ)くぐりのふるまい方についてご紹介します。
散策|美しい渓流や苔に癒やされる川沿い散策「奥入瀬渓流」(青森県)
十和田八幡平国立公園(青森県)を代表する景勝地のひとつが「奥入瀬(おいらせ)渓流」です。十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流は、国指定の特別名勝、天然記念物にも指定されています。四季折々の自然が満喫でき、遊歩道もしっかり整備されています。高村光太郎作の乙女の像でも知られる十和田湖と合わせての散策がおすすめで、ガイド付きのネイチャーツアーも開催されています。「星野リゾート奥入瀬渓流ホテル」で大人で優雅なリゾートも楽しめます。
最新の投稿
ジメジメとした梅雨や暑い夏は、どうしても食欲が落ちてバテてしまいがち。そんな時に活用したいのが、「お酢」です。お酢はバテやすい時期にぴったりの効果が期待でき、健康習慣にも役立てられます。今回は、梅雨や夏にぜひ摂りたいお酢が持つ力についてご紹介します。
日本では「マヨネーズとケチャップで作るソース」として知られているオーロラソース。しかし発祥の地であるフランスのオーロラソースは、見た目こそよく似ていますが、実は材料も調理法も日本とは違っているのです。今回は、オーロラソースの概要と栄養素、組み合わせたい食材やメニューについてご紹介します。
トマトは夏野菜のイメージがありますが、通年入手できるうえ、生でそのまま食べても加熱して食べてもおいしい便利な野菜。市場に安く出回る5~6月は、少し多めに入手して冷凍保存すると1ヵ月は日持ちします。今回は、トマトを加熱した場合の栄養や健康効果、節約・時短調理におすすめの冷凍保存についてご紹介します。
こっくり飴色が食欲をそそる「イカと里芋の煮物」は、ほっと落ち着く家庭料理。2つの食材を組み合わせることによって、お互いの栄養素が働きあって、疲労回復・滋養強壮にぴったりのメニューになります。
アウトドアといえば、遠出をして山や川などの大自然の中で過ごすイメージが強いですが、実は、アウトドアはそこまで遠くへ行かなくても楽しめるアクティビティです。自宅の近くでも、「ご近所アウトドア」として外で過ごす時間は十分作れます。今回は、ご近所アウトドアの楽しみ方についてご紹介します。