
散策|白駒の池と麦草峠(長野県) 心が洗われるような八ヶ岳の景観を訪ねる
八ヶ岳(やつがたけ)は、長野県と山梨県の境にある山々の総称。その中でも白駒の池(しらこまのいけ)や麦草峠(むぎくさとうげ)は、車や電車とバス(夏季のみ)を経由して登山口まで行くことができます。白駒の池周辺に広がる485種類の苔(こけ)は「日本の貴重なコケの森」に選定されています。
八ヶ岳(やつがたけ)は、長野県と山梨県の境にある山々の総称。その中でも白駒の池(しらこまのいけ)や麦草峠(むぎくさとうげ)は、車や電車とバス(夏季のみ)を経由して登山口まで行くことができます。白駒の池周辺に広がる485種類の苔(こけ)は「日本の貴重なコケの森」に選定されています。
オススメ散策ルート 「白駒の池~高見石」 3時間コース
A:メルヘン街道(国道299号)
麦草峠
↓
B:白駒の池駐車場
↓
15分
C:白駒の池
↓
60分
D:高見石小屋
↓
40分
E:白駒の池
↓
10分
F:白駒の池駐車場
※所要時間は時速3kmで歩いた場合の目安です。
メルヘン街道から麦草峠へ
急カーブが多い国道299号線通称メルヘン街道を登坂すると、麦草峠に出ます。麦草峠は、一般に想像する峠のイメージとは異なり、稲に似た麦草の広がる草原を、比較的まっすぐに走る道が通っています。 ※国道299号線は冬季は通行止めになります。
麦草峠は農家の娘たちが、岡谷市にある製糸工場へ向かうために超えた峠道。山本茂美の小説「あゝ野麦峠」で娘たちが越えた野麦峠と名前が似ていますね。 また、麦草峠から2km離れた冷山(つめたやま)は、かつて黒曜石(火山岩の一種。加工して装飾品や文鎮、すずりなどになる)の一大産地でした。黒曜石の断面は鋭い刃物のようになるため、矢じりや槍の先に使用されていたそうで、冷山にも旧石器人が採取しにきていたことが分かっているそうです。
白駒の池と「日本の貴重なコケの森」
白駒の池駐車場から白駒の池までは徒歩約15分。標高2,000m以上に位置する高山湖のなかでは、国内最大規模とされています。清水をたたえた鏡のような池面に、樹齢数百年の原生林が映り込んだ景観は、ため息が出るような神秘的な雰囲気に包まれています。池周辺の散策時間は40分ほど。新緑の季節、紅葉の季節と2度は訪れたくなる場所です。池は11月から4月まで氷結するため、かつてはスケートの選手が合宿をしていたそうです。

白駒の池の入り口からは485種類の苔が生息する苔の森の中を歩きます。貴重種や多種多様な苔が見られるこの場所は、日本蘚苔類(せんたいるい)学会から「日本の貴重なコケの森」の指定を受けています。
池周辺には名前の付いた森が10カ所あり、生息する苔もそれぞれ異なります。ここはぜひルーペ持参で訪れたい場所。緑のじゅうたんを観察すると、さまざまな種類の苔がその個性的な形を見せてくれます。
高見石(たかみいし)は八ヶ岳を代表する景勝地。大きな岩が積み重なって高台を形成しているので、ストックなどは持たずに両手を自由にした状態で登りましょう。
巨石を登りつめると、素晴らしいパノラマが眼下に広がります。原生林の中に白駒の池がぽっかりと浮かんで見えるので、巨石に腰を下ろしてこの絶景を堪能しましょう。天気が良いときには浅間山も望むことができます。 高見石への登山道はゆるやかなコースと険しいコースがあるので、登るときはコースの選択にご注意ください。
今回は初心者でも楽しめるおすすめコースをご紹介しました。気軽に散策できるコースではありますが、山道を行くのでトレッキングシューズや雨具の用意をお忘れなく。また、白駒の池から高見石を登らないゆるやかなコースも整備されているので、メンバーや目的によってルートを微調整することもできます。
※掲載されている情報は平成28年1月現在のものです。
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