
語源・由来|「てんてこまい」「てんやわんや」 動き回る人の様子を表す言葉
クリスマス時期の百貨店、大売り出しのセール会場、ニューオープンの店の厨房…、お客で混雑する店のスタッフの頭をよぎるのは、「てんてこまい」や「てんやわんや」、こんな言葉ではないでしょうか。バタバタと慌ただしく人が動き回る様子を表すこの言葉、不思議なことにどちらも「てん」から始まります。今回は、この2つの言葉の由来を掘り下げます。
クリスマス時期の百貨店、大売り出しのセール会場、ニューオープンの店の厨房…、お客で混雑する店のスタッフの頭をよぎるのは、「てんてこまい」や「てんやわんや」、こんな言葉ではないでしょうか。バタバタと慌ただしく人が動き回る様子を表すこの言葉、不思議なことにどちらも「てん」から始まります。今回は、この2つの言葉の由来を掘り下げます。
祭囃子や里神楽から生まれた言葉 「てんてこまい」

「てんてこまい」とは「休む暇もなく、忙しく動き回ること」。この言葉は、「てんてこ+舞い」という2つの要素からできています。「舞い」はわかりますが、「てんてこ」とはなんのことでしょう?
実は「てんてこ」とは祭囃子や、里神楽で使う小太鼓の音。または、この音に合わせた舞いのことをいいます。その舞いが慌ただしいことから、「てんてこ舞い」は大忙しの状態を表す言葉になりました。
もうひとつ、別の説もあり、こちらもお祭りが起源。神田祭などの江戸の祭礼では、そろいの男装をした女性たちが山車や神輿の先駆として歌い、練り歩く様子が見られます。これを「手古舞(てこまい)」といいます。
かつては、祭りで山車や山車小屋を組むとび職の者たちが山車の引き回しのときにはその警護も行っていたそう。とびの者が木や石を動かす際に使うのが「てこ(手棍)」で、山車の警護をする者たちを「手棍前」と呼んだのがその起源だとか。
やがて、芸者や氏子の娘たちがその恰好を真似して山車に付き添うようになり、これが今も各地の祭礼に残る「手古舞」となりました。この「手古舞」が変化して「てんてこまい」になったというのです。
「てんでん+わや」からできた言葉 「てんやわんや」

「てんやわんや」とは、大勢の人が秩序なく動き回ってごった返すことや、予想外の出来事などのために、大勢の人が動いて混乱する様子をいいます。リズム感があるせいか、この言葉を使うと、大変な状況を言い表しているはずなのに、どこかおかしみを感じさせます。
「てんやわんや」は「てんでん+わや」の2つの言葉からできたという説が有力です。「てんでん」とは「てんでんばらばら」といった言葉に使われる「てんでん」のこと。「手に手に」とか「手々」のことで、転じて「各自」や「銘々」という意味になります。
もうひとつの「わや」は関西の方言。「無理」や「無茶」を意味する言葉で、「わや」もしくは「わんや」といいます。「わや」には別の語源説もあり、「わやわや(わいわい騒ぐ)」や「わい(関西方言での「私」)」がもとになったともいわれます。
江戸時代からある言葉ですが、よく使われるきっかけとなったのは、昭和23年、獅子文六が毎日新聞で「てんやわんや」というタイトルの連載小説を発表したところから。昭和25年に映画化されました。「てんやわんや」は流行語となり、現在も私たちになじみ深い言葉となったのです。
関連する投稿
ゴールデンウィークから初夏にかけては、陽気に誘われて過ごしやすい時季です。そこで今回は、これまでご紹介してきた旅記事のなかで、「丸山千枚田」「奥入瀬渓流」「尾瀬国立公園」などの、新緑が美しい自然豊かな観光地や散策ルートをご紹介します。
キャッシュレス決済を利用する方が増えるなか、最も使用されているのがクレジットカード。しかし、これまでクレジットカードをあまり使用されていなかった方や、これからクレジットカードの使用を考えている方には分からないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、いまさら聞けないクレジットカードの使い方や、注意したいポイントについてご紹介します。
語源・由来|「お雑煮」「羽根つき」 正月にまつわるめでたい由来
季節ごとの習わしや行事食は多々あれど、中でもお正月にまつわるものは、多く現代に残っています。今は簡略化されてしまって、そもそもの由来に思いを馳せることは少なくなっているかもしれません。今回は「お雑煮」と「羽根つき」が始まった理由や、言葉の意味をご紹介します。
イベント事のマナー|年の前半の締めくくり「夏越の祓」で、後半も健やかに
6月の終わりに行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年分の穢れを祓って夏を迎え、残りの半年を健やかに過ごすための神事。日本各地の神社で行われ、基本的にどなたでも参列できます。今回は、年の前半の締めくくりである夏越の祓について、また、茅の輪(ちのわ)くぐりのふるまい方についてご紹介します。
散策|美しい渓流や苔に癒やされる川沿い散策「奥入瀬渓流」(青森県)
十和田八幡平国立公園(青森県)を代表する景勝地のひとつが「奥入瀬(おいらせ)渓流」です。十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流は、国指定の特別名勝、天然記念物にも指定されています。四季折々の自然が満喫でき、遊歩道もしっかり整備されています。高村光太郎作の乙女の像でも知られる十和田湖と合わせての散策がおすすめで、ガイド付きのネイチャーツアーも開催されています。「星野リゾート奥入瀬渓流ホテル」で大人で優雅なリゾートも楽しめます。
最新の投稿
トマトは夏野菜のイメージがありますが、通年入手できるうえ、生でそのまま食べても加熱して食べてもおいしい便利な野菜。市場に安く出回る5~6月は、少し多めに入手して冷凍保存すると1ヵ月は日持ちします。今回は、トマトを加熱した場合の栄養や健康効果、節約・時短調理におすすめの冷凍保存についてご紹介します。
チリソースは、「辛いソース」として日本でも広く浸透していますが、その名前の由来や素材の栄養価などは意外と知られていないのではないでしょうか。今回は、チリソースの由来やスイートチリソースとの違いのほか、栄養価、チリソースを活用したおすすめメニューなどについてご紹介します。
こっくり飴色が食欲をそそる「イカと里芋の煮物」は、ほっと落ち着く家庭料理。2つの食材を組み合わせることによって、お互いの栄養素が働きあって、疲労回復・滋養強壮にぴったりのメニューになります。
アウトドアといえば、遠出をして山や川などの大自然の中で過ごすイメージが強いですが、実は、アウトドアはそこまで遠くへ行かなくても楽しめるアクティビティです。自宅の近くでも、「ご近所アウトドア」として外で過ごす時間は十分作れます。今回は、ご近所アウトドアの楽しみ方についてご紹介します。
日本で広く親しまれている中華料理の中でも、八宝菜は中華料理店や給食などで幅広く食べられているポピュラーなメニューです。八宝菜は決まった具材がないレシピで、比較的自由に調理できます。今回は、八宝菜の由来や日本発祥の八宝菜を使ったメニューなどについてご紹介します。