間違いやすい日本語|「踊る/躍る」「制作/製作」 使い分けの難しい同音異義語
発音が同じで意味が異なる言葉を、同音異義語といいます。例えば「正確/性格」、「柿/牡蠣」、「製菓/生花/成果/聖火」などがあげられます。例にあげた言葉では、意味もそれぞれ違いますから使い分けは容易ですが、なかには、使い分けがちょっと難しい同音異義語もあります。今回はそうした「踊る/躍る」と「制作/製作」をご紹介します。
発音が同じで意味が異なる言葉を、同音異義語といいます。例えば「正確/性格」、「柿/牡蠣」、「製菓/生花/成果/聖火」などがあげられます。例にあげた言葉では、意味もそれぞれ違いますから使い分けは容易ですが、なかには、使い分けがちょっと難しい同音異義語もあります。今回はそうした言葉をご紹介します。
実は動き方に違いのある、2つの「おどる」 躍る/踊る
「躍る」と「踊る」はどちらの字も「おどる」と読みます。2つの「おどる」をどのように使い分ければいいか、わかりますか?
問. 「こおどりして喜ぶ」という一文において「おどり」はどちらの漢字を使えばいいでしょう。
2. 躍
答えは、2の「躍」。「こおどり」は「小躍り」と書くのが正解です。
「躍る」を使った熟語に「躍動」や「跳躍」がありますね。「躍る」とは、飛び跳ねる、跳ね上がるという意味で、英語でいえば「jump」ということ。「小躍り」は、飛び上がらんばかりに喜ぶことを意味するので、「躍る」という字を使うのです。
一方、「踊る」のほうは「舞踊」の字で使うように「音楽などに合わせて体を動かすこと」という意味で、英語でいえば「dance」となります。
この2つの同音異義語、そもそも語源を同じくする言葉同士なのです。2つの言葉の語源は、「おどる(をどる)」。もともと飛んだり跳ねたりする運動、動作を「おどる」といいました。舞踊の意味で「おどる」というようになったのは中世末期からといわれますが、当時のおどりは飛び跳ねるような動きだったそうです。語源が同じなのですから、使い分けが難しいのも当然ですね。迷ったときのヒントは漢字の部首。「躍」には「羽」がついていますね。この漢字には、羽ばたく鳥のイメージが重ねられているのです。羽のついた「躍」が「jump」、もう片方の「踊」が「dance」、と覚えておくと間違えにくくなるので、おすすめです。
作るものによって使う漢字が異なる、2つの「せいさく」 制作/製作
「制作」と「製作」。どちらも同じ読みの上に、「作る」という漢字は同じ。何を作るときに使えばいいのか、難しいものです。
問. 「このあと番組せいさくスタッフが美味しくいただきました」というときの「せいさく」は、どう書くでしょう?
2. 製作
答えは、1の「制作」です。では使い分け方を詳しく見ていきましょう。
「制作」は、芸術作品や演劇、映画、またテレビやラジオなどの放送番組などを作ることです。「卒業制作」や「テレビ・ラジオの番組制作会社」はどちらも「制作」の字を使います。
一方の「製作」は「製造」などの「製」の字。こちらは道具や機械などを使って物品を作ることをいいます。どちらかといえば、実用的なものを作る際に使う字です。
一般的にはこれだけわかっていれば、使い分けができるのですが、難しいのは、映画や演劇を作る過程においては、制作も製作もどちらの仕事もあることです。
まず、わかりやすいところでは、演劇・映画・テレビ番組作りにおいても、「大道具を作る」のは「製作」にあたります。これは「道具や機械などを作って物品を作る」ことなのでわかりやすいですね。
では、資金の調達や、宣伝や興行全般については、どうでしょうか。実は、映画においては、制作と製作の2つを独自に使い分けしています。
シナリオを書いたり、撮影をしたり、演出をしたり、実際の作品作りをするのが「制作」、衣装や小道具などを作るのは「製作」ですが、資金調達や宣伝には「製作」を使っているのです。例えば、アニメ映画であれば、アニメーションを作る会社は「制作」となり、その資金調達や宣伝をする出版社、テレビ局などは「製作」となります。英語では「制作」はwork、「製作」はproduction、となります。
「製作」と「制作」の使い分け方を覚えておくと、テレビや映画の舞台裏までのぞきたくなりそうですね。
関連する投稿
ゴールデンウィークから初夏にかけては、陽気に誘われて過ごしやすい時季です。そこで今回は、これまでご紹介してきた旅記事のなかで、「丸山千枚田」「奥入瀬渓流」「尾瀬国立公園」などの、新緑が美しい自然豊かな観光地や散策ルートをご紹介します。
キャッシュレス決済を利用する方が増えるなか、最も使用されているのがクレジットカード。しかし、これまでクレジットカードをあまり使用されていなかった方や、これからクレジットカードの使用を考えている方には分からないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、いまさら聞けないクレジットカードの使い方や、注意したいポイントについてご紹介します。
語源・由来|「お雑煮」「羽根つき」 正月にまつわるめでたい由来
季節ごとの習わしや行事食は多々あれど、中でもお正月にまつわるものは、多く現代に残っています。今は簡略化されてしまって、そもそもの由来に思いを馳せることは少なくなっているかもしれません。今回は「お雑煮」と「羽根つき」が始まった理由や、言葉の意味をご紹介します。
イベント事のマナー|年の前半の締めくくり「夏越の祓」で、後半も健やかに
6月の終わりに行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年分の穢れを祓って夏を迎え、残りの半年を健やかに過ごすための神事。日本各地の神社で行われ、基本的にどなたでも参列できます。今回は、年の前半の締めくくりである夏越の祓について、また、茅の輪(ちのわ)くぐりのふるまい方についてご紹介します。
散策|美しい渓流や苔に癒やされる川沿い散策「奥入瀬渓流」(青森県)
十和田八幡平国立公園(青森県)を代表する景勝地のひとつが「奥入瀬(おいらせ)渓流」です。十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流は、国指定の特別名勝、天然記念物にも指定されています。四季折々の自然が満喫でき、遊歩道もしっかり整備されています。高村光太郎作の乙女の像でも知られる十和田湖と合わせての散策がおすすめで、ガイド付きのネイチャーツアーも開催されています。「星野リゾート奥入瀬渓流ホテル」で大人で優雅なリゾートも楽しめます。
最新の投稿
「ブリ御三家」のひとつとして知られる魚「カンパチ」。刺身としてよく食べられている魚ですが、煮てもおいしく味わえる栄養豊富な魚です。今回は、カンパチとよく似た魚との違いやカンパチに含まれる栄養、おすすめの食べ方についてご紹介します。
うな重として食べるのがポピュラーなうなぎですが、もう一つ、名古屋名物の「ひつまぶし」もうなぎの食べ方としてよく知られています。ひつまぶしは食べ方が3種類あるのが大きな特徴で、うな重とは異なるうなぎを味わえます。今回は、ひつまぶしの由来や食材に含まれる栄養などについてご紹介します。
ここ数年耳にすることの多い「ブラックフライデー」。さまざまな小売店やネットショップが大きなセールを行うので、なんとなくセールをやっている日と覚えている方も多いのでは。今回は意外なブラックフライデーの由来や、ブラックフライデーで上手にお買い物するコツなどをご紹介します。
野菜の豆知識|ビタミン&カルシウム補給に「豆」! 備蓄もできる便利食材
味噌や醤油、豆腐など大豆製品は日本人の食卓の定番食材ですが、大豆以外にも豆はたくさんの種類があります。栄養も豊富な上に長期保存が可能なタイプもあるので、備蓄や非常食としても優秀です。今回は、身近なようで、意識しないとなかなか摂る機会が少ない方も多いかもしれない豆の栄養や食べ方についてご紹介します。
そばは1年を通して多くの場所で提供されている、日本で定番の麺メニューですが、秋に旬を迎える「新そば」をご存じでしょうか。そば本来の味や香りが堪能できる新そばは、秋の風物詩のひとつです。今回は、秋の旬の食べ物でもある秋の新そばの基本情報と栄養、おすすめの食べ方についてご紹介します。