
散策|佐原(千葉県) 古き良き水郷のまちをそぞろ歩き
川沿いに昔ながらの商家が立ち並ぶ佐原(千葉県)は、かつて利根川の舟運(川や運河で人や物を輸送すること)で栄えました。江戸の文化を取り入れ、隆盛を極めた商都の様子は「お江戸見たけりゃ佐原へござれ 佐原本町江戸まさり」とうたわれたほど。昔からの家業を今も引き継いで続ける商家が多く、「生きている町並み」と評されています。日本で最初の実測地図を作製した「伊能忠敬ゆかりの地」でもあります。
目次
川沿いに昔ながらの商家が立ち並ぶ佐原は、かつて利根川の舟運(川や運河で人や物を輸送すること)で栄えました。江戸の文化を取り入れ、隆盛を極めた商都の様子は「お江戸見たけりゃ佐原へござれ 佐原本町江戸まさり」とうたわれたほど。昔からの家業を今も引き継いで続ける商家が多く、「生きている町並み」と評されています。日本で最初の実測地図を作製した「伊能忠敬ゆかりの地」でもあります。

オススメ散策ルート
↓
徒歩約11分
いかだ焼本舗正上(しょうじょう)
↓
徒歩約2分
植田屋荒物店(うえだやあらものてん)
↓
徒歩約1分
伊能忠敬旧宅
伊能忠敬記念館
↓
徒歩約2分
正文堂(しょうぶんどう)書店店舗
小堀屋(こぼりや)本店
福新(ふくしん)呉服店
徒歩約28分(約2.2km)
コースタイムや距離は目安です。
伊能忠敬旧宅のほか、県指定文化財が立ち並ぶ「重要伝統的建造物群保存地区」を歩きます。当時の隆盛ぶりに思いを馳せつつ、「北総の小江戸」を楽しみましょう。
町全体が博物館! 「佐原まちぐるみ博物館」
重要伝統的建造物群保存地区や、市街地に点在する商家では、家々に伝わる商売道具や調度品、蔵の佇まい、伝統の味などを「佐原まちぐるみ博物館」として展示しています。「佐原まちぐるみ博物館」の数は今では40館以上。各館の “楽芸員(がくげいいん)”であるオーナーやおかみさんが、「お宝」のお話を聞かせてくれます。「佐原まちぐるみ博物館」と描かれた小さな木製看板を見つけたら、ぜひ中に入ってみてください。本記事中の「いかだ焼本舗 正上」、「植田屋荒物店」、「福新呉服店」も参加しています。(画像は福新呉服店)

「いかだ焼本舗 正上」200年以上続くしょう油屋さんの佃煮はいかが?

創業寛政12年(1800年)から200年以上続く商家・正上は、長年のしょう油造りの技術を生かし、現在は佃煮の製造販売を中心にしています。佃煮を販売している土蔵は、明治初期に建てられた穀物蔵。蔵に続く江戸商屋造りの建物は天保3年に建てられ、とんぼ玉作り体験(着色や模様をつけたガラス玉。根付やかんざしなど装飾品に用いられる)ができるショップになっています。
所在地:千葉県香取市佐原イ3406
電話番号: 0478-54-1642
営業時間:9:00~17:00(日・祝日は10:00~16:00)
定休日:年中無休(年末年始のみ休み)
今も昔もこだわり雑貨がそろう「植田屋荒物店」

宝暦9年(1759年)の創業時から、日用品雑貨を扱う卸問屋を営む植田屋荒物店。店内には、職人の手で作られた手作りのお弁当箱や台所用品など、天然素材の荒物(日常生活に使う雑多な品物)が並びます。奥にある2階建ての土壁の厚さは30cmと耐火性に優れています。この土蔵も店舗になっているので、ぜひ奥まで訪れてみてください。
所在地:千葉県香取市佐原イ1901
電話番号:0478-52-2669
営業時間:9:00~18:00(不定休)
蔵見学:11:00~16:30
伊能忠敬旧宅 / 伊能忠敬記念館

50歳を過ぎてから江戸で暦学を学び、全国を歩いて測量、日本全土の地図を作り上げた伊能忠敬。「伊能忠敬旧宅」は忠敬が17歳から50歳までを過ごした家です。伊能家は江戸時代に醸造業・米の売買を営み、忠敬自身も50歳で江戸に出るまで、伊能家の主人として働きました。土蔵造りの店舗のほか、炊事場、書院、土蔵が残されています。50歳を過ぎ隠居した伊能忠敬が、この書院で『大日本沿海輿地全図』の構想を練っていたかもしれない…。そう考えるとワクワクしますね!

伊能忠敬旧宅の横に架かる橋は江戸時代の水路橋を再現したもので、滝のように落ちる水の音にちなんで「じゃあじゃあ橋」と呼ばれています。水を送る樋(とい)の上に橋が架けてあり、もともとは農業用水を対岸に送る役割がありました。今の橋は観光用に造られたもので、30分ごとに落水があり、この落水音は「残したい日本の音風景100選」に選ばれています。

伊能忠敬記念館はじゃあじゃあ橋を渡って、すぐの場所にあります。館内には伊能図とも呼ばれる『大日本沿海輿地全図』をはじめ、全国を測量するのに使用した道具類や、伊能忠敬の人となりが紹介されています。伊能忠敬が作成した地図と、人工衛星で撮影した日本がほとんど同じだということも紹介されていて、伊能忠敬の測量技術の高さとあふれる情熱を感じる名所です。
所在地:千葉県香取市佐原イ1900-1
開館時間:9:00~16:30
休館日:年末年始
入館料:無料
問い合わせ:0478-54-1118(伊能忠敬記念館)
伊能忠敬記念館
所在地:千葉県香取市佐原イ1722-1
開館時間:9:00~16:30 休館日:月曜日(祝日は開館)・年末年始
入館料:大人500円 小中学生250円
電話番号:0478-54-1118
見学できる3つの県指定有形文化財
■正文堂書店店舗(現・さわら十三里屋)

江戸時代には、すでに和本の出版・販売をしていた正文堂書店。現在は「さわら十三里屋」というお芋を使った和菓子屋さんが営業しています。2階建て土蔵造りのこの建物は、明治13年(1880年)のもの。2階の窓は開き戸・土戸・板戸と、防火性を意識した三重構造になっています。外観は当初のままで、内部の改造もほとんどありません。
営業時間:11:00~17:30
定休日:毎週月曜日
電話番号:0478-51-1105
■小堀屋本店
正文堂書店の3軒となりには、今も営業しているそば処・小堀屋本店があります。もともとの家業は、しょう油醸造でしたが、天明2年(1782年)からそば屋を営んでいます。店舗・調理場・土蔵が一体となった建物は明治33年(1900年)に建てられたもので、明治時代の建築形式をそのまま残しています。
定休日:水曜日(祝日の場合は営業、翌日休み。1月1日・2日休業)
営業時間:11:00~16:00
電話番号:0478-52-4128(予約不可)
■福新呉服店

小堀屋本店のとなりは、文化元年(1804年)創業の福新呉服店です。前述の「佐原まちぐるみ博物館」の1号館でもあります。間口の前面と側面は周囲から火が移ることを防ぐ土蔵造りで、呉服店ならではの防火意識を感じさせる建物です。店の奥の中庭、土蔵とともに見学自由となっています。
電話番号:0478-52-3030
150万本ハナショウブが咲き誇る「水郷佐原あやめ祭り」(6月)

あやめとはすを中心に、水辺の植物を栽培・展示している水郷佐原あやめパークでは、6月にハナショウブが見ごろを迎えます。400品種150万本のハナショウブが咲き乱れ、祭り期間中は園内舟めぐりなどが楽しめ、週末には嫁入り舟の披露などの催しも行われます。また、7月から8月にかけては「はす祭り」があり、約300品種のハスの花が観賞できます。
開催期間:5月26日(土)~6月24日(日)
開園期間:8:00~18:30(入園は17:30前後まで)
※あやめ祭り期間中は無休
入園料(あやめ祭り期間中):大人800円、65歳以上700円、小中学生400円
所在地:千葉県香取市扇島1837-2
電話番号:0478-56-0411
江戸文化の影響を多いに受け、隆盛を極めた水郷のまち佐原は、その様子から江戸まさりとも称されました。その姿は、家業を受け継ぎ今も営む商家や、おかみさんたちによるまちぐるみの博物館によって、今も訪れる人に伝えられています。全国を歩いた伊能忠敬の足跡にも思いを馳せながら、佐原のまち散策を楽しんでください。
※掲載されている情報は平成30年4月現在のものです。
関連する投稿
ゴールデンウィークから初夏にかけては、陽気に誘われて過ごしやすい時季です。そこで今回は、これまでご紹介してきた旅記事のなかで、「丸山千枚田」「奥入瀬渓流」「尾瀬国立公園」などの、新緑が美しい自然豊かな観光地や散策ルートをご紹介します。
キャッシュレス決済を利用する方が増えるなか、最も使用されているのがクレジットカード。しかし、これまでクレジットカードをあまり使用されていなかった方や、これからクレジットカードの使用を考えている方には分からないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、いまさら聞けないクレジットカードの使い方や、注意したいポイントについてご紹介します。
語源・由来|「お雑煮」「羽根つき」 正月にまつわるめでたい由来
季節ごとの習わしや行事食は多々あれど、中でもお正月にまつわるものは、多く現代に残っています。今は簡略化されてしまって、そもそもの由来に思いを馳せることは少なくなっているかもしれません。今回は「お雑煮」と「羽根つき」が始まった理由や、言葉の意味をご紹介します。
イベント事のマナー|年の前半の締めくくり「夏越の祓」で、後半も健やかに
6月の終わりに行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年分の穢れを祓って夏を迎え、残りの半年を健やかに過ごすための神事。日本各地の神社で行われ、基本的にどなたでも参列できます。今回は、年の前半の締めくくりである夏越の祓について、また、茅の輪(ちのわ)くぐりのふるまい方についてご紹介します。
散策|美しい渓流や苔に癒やされる川沿い散策「奥入瀬渓流」(青森県)
十和田八幡平国立公園(青森県)を代表する景勝地のひとつが「奥入瀬(おいらせ)渓流」です。十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流は、国指定の特別名勝、天然記念物にも指定されています。四季折々の自然が満喫でき、遊歩道もしっかり整備されています。高村光太郎作の乙女の像でも知られる十和田湖と合わせての散策がおすすめで、ガイド付きのネイチャーツアーも開催されています。「星野リゾート奥入瀬渓流ホテル」で大人で優雅なリゾートも楽しめます。
最新の投稿
ジメジメとした梅雨や暑い夏は、どうしても食欲が落ちてバテてしまいがち。そんな時に活用したいのが、「お酢」です。お酢はバテやすい時期にぴったりの効果が期待でき、健康習慣にも役立てられます。今回は、梅雨や夏にぜひ摂りたいお酢が持つ力についてご紹介します。
日本では「マヨネーズとケチャップで作るソース」として知られているオーロラソース。しかし発祥の地であるフランスのオーロラソースは、見た目こそよく似ていますが、実は材料も調理法も日本とは違っているのです。今回は、オーロラソースの概要と栄養素、組み合わせたい食材やメニューについてご紹介します。
トマトは夏野菜のイメージがありますが、通年入手できるうえ、生でそのまま食べても加熱して食べてもおいしい便利な野菜。市場に安く出回る5~6月は、少し多めに入手して冷凍保存すると1ヵ月は日持ちします。今回は、トマトを加熱した場合の栄養や健康効果、節約・時短調理におすすめの冷凍保存についてご紹介します。
チリソースは、「辛いソース」として日本でも広く浸透していますが、その名前の由来や素材の栄養価などは意外と知られていないのではないでしょうか。今回は、チリソースの由来やスイートチリソースとの違いのほか、栄養価、チリソースを活用したおすすめメニューなどについてご紹介します。
こっくり飴色が食欲をそそる「イカと里芋の煮物」は、ほっと落ち着く家庭料理。2つの食材を組み合わせることによって、お互いの栄養素が働きあって、疲労回復・滋養強壮にぴったりのメニューになります。