
語源・由来|「春爛漫」「ゴールデンウィーク」 心浮き立つ春の言葉
桜前線の移動や、各地の開花のニュースとともに4月から5月にかけてよく聞く言葉が「春爛漫」と「ゴールデンウィーク」。どちらも心を浮き立たせる、うれしい春の言葉ですね。今回は、このふたつの言葉の語源をについてご紹介します。

桜前線の移動や、各地の開花のニュースとともに4月から5月にかけてよく聞く言葉が「春爛漫」と「ゴールデンウィーク」。どちらも心を浮き立たせる、うれしい春の言葉ですね。今回は、このふたつの言葉の語源を探ってみます。
爛漫、の意味とは「春爛漫」
春まっさかりの時期に聞かれる「春爛漫」という言葉。何気なく使っていますが、実はどのような語源があるのでしょう。
爛漫の「爛」には、「爛熟(らんじゅく)」「糜爛(びらん)」といった言葉に使われるように「ただれる、くさる」という意味がありますが、もうひとつ、「鮮やか、溢れんばかりに光り輝く」という意味もあります。「爛漫」「絢爛(けんらん)」などは、まさに後者の意味合いの言葉です。
「漫」はさまざまな意味のある漢字ですが、「漫々と」といえば広く果てしない様子を表すように、「一面に広がる、みなぎる」という意味を持っています。
つまり、この「爛」と「漫」を合わせると、鮮やかで溢れんばかりの光が一面に広がっているというイメージになります。
「爛漫」をあらためて辞書で調べると、ふたつの意味が出てきます。ひとつは、「花が咲き乱れているさま」という意味。もうひとつは「光り輝くさま、明らかにあらわれるさま」で「天真爛漫」といった言葉で使われています。つまり、「春爛漫」とは、春、花が咲き乱れ、光に満ち満ちた様子を表しているのです。光溢れる春の日に、桜などの花が一面に咲き誇るさまは、まさに「春爛漫」の景色といえますね。

映画会社による造語だった「ゴールデンウィーク」
国民の休日と土日が続き、通常の休日よりも多くの日数が連続して休日になるときを「大型連休」といいます。なかでも4月末から5月初めにかけて、一年で一番国民の休日が多い時期を「ゴールデンウィーク」と呼びならわします。
ゴールデンウィークは造語の和製英語で、登場したのは1951年。現在のゴールデンウィークにあたる時期に上映した映画が、正月やお盆の興行よりヒットしたことから、映画会社の「大映」で当時専務だった松山英夫氏が5月の連休の時期を「ゴールデンウィーク」と名付け、プロモーションに用いました。
この呼び方の由来としては、当時ラジオで最も聴取率の高い時間の呼び方「ゴールデンタイム」に習ったという説もあります。
松山英夫氏は、実は造語「シルバーウィーク」の生みの親でもあります。ゴールデンウィーク同様、映画のプロモーション用の言葉として生み出されたのですが、実は私たちが今使っている「シルバーウィーク」とは別物。1950年代の映画業界で使われた「シルバーウィーク」は11月3日の文化の日を中心とした期間でした。
しかし、11月のシルバーウィークはあまり定着せず、復活したのは、2003年にハッピーマンデー制度により、本来9月15日だった「敬老の日」が、9月の第3月曜日になったことから。これにより2009年、2015年には、敬老の日と秋分の日、前後の土日を加えた大型連休が実現したこと、「シルバー」には老齢世代の意味合いもあり、敬老の日を含む連休というイメージともぴったりなことなどから、現在は、9月の大型連休を「シルバーウィーク」と呼びならわすようになっています。
いかがでしたか? ゴールデンウィークが映画の宣伝用語から生まれたとは意外でしたね。今もゴールデンウィークは、映画会社が力を入れて興行する時期に変わりありません。由来を知って今年のゴールデンウィークはどんな映画を見に行こうかなどと、考えるのも楽しいですね。春爛漫の季節は、花見に映画に、どうぞ楽しいお休みをお過ごしください。
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