語源・由来|「にべもない」「しっぺ返し」
ごく普通に使っている言葉でも、どうやってできたのだろう、と思う表現はありませんか? 語源をたどってみると、ユニークな由来がある言葉は多いのです。今回は、「愛想がない」「冷たい」といったそっけない様を表す言葉の「にべもない」と、何かをしてきた相手に対しすぐに仕返しをする様を表した「しっぺ返し」の、なかなか知られていない語源をご紹介します。
ごく普通に使っている言葉でも、どうやってできたのだろう、と思う表現はありませんか? 語源をたどってみると、ユニークな由来がある言葉は多いのです。今回は、認知度は高いものの、由来はなかなか知られていない言葉の語源をご紹介します。
にべもない
「愛想がない」「冷たい」といったそっけない様を表す言葉です。「彼はにべもなく断った」のように、何かを断られたり、否定されたときに用い、相手にあまり良い印象を持たなかったときに使う表現です。
この表現に含まれている「にべ」とは、「ニベ」という魚の名前からきています。ニベの浮き袋は粘り気が強いことから、「膠(にかわ)」と呼ばれる接着剤の原料になっています。精製度が低いものは工芸品などの接着剤に用いられ、精製度が高いものは食品や医薬品に用いられる「ゼラチン」として知られています。
膠は非常に粘着力が強く、古くは弓を作る際の接着剤として使用されていました。その強度は、当て字で「膠(にべ)」と呼ばれていたほど。そして、膠の強力な粘着力を人と人とのつながりに例え、他人に愛想がない様を「にべもない」と呼ぶようになったといわれています。
このような由来を持つため、「鰾(うきぶくろ)」という漢字を合わせて、「鰾膠(にべ)もない」と表現する場合もあります。
しっぺ返し
何かをしてきた相手に対し、すぐに仕返しをする様を表しています。「調子に乗っていたらしっぺ返しをくらった」のように、仕返しをする側ではなくされる側として使われる表現です。
「しっぺ」の由来は、禅宗で修行者や参禅者の雑念や邪念を払う際に使われる「竹篦(しっぺい)」という法具から。寺院などで、住職が座禅している人の肩をたたく様子を見たことはありませんか?その時に使われている道具が、竹を割って漆を塗った棒状の「竹篦」と呼ばれるものです。
座禅をしている時に竹篦で打たれる側にいる修行者も、修行を積んで高僧となれば竹篦を手に修行者を打つ側になり、立場が逆転します。「やられたらやり返す」という意味で「竹篦返し」という言葉ができ、やがて「しっぺ返し」という言葉に変わったといわれています。また、大寺院においては高僧が交代で竹篦を打つため、打たれた僧もすぐに竹篦を打つ側になることから、即座にやり返すという意味を持ったのだとか。
しっぺ返しとよく似た言葉に、「しっぺ遊び」があります。人さし指と中指で相手の手首をたたく、よく子どもの罰ゲームに用いられる遊びです。皆さんも1回はしたこと、されたことがあるのではないでしょうか。このしっぺ遊びもたたく指を竹篦に例えたものだそうで、17世紀に編集された日本語とポルトガルの辞書「日葡辞書(にっぽじしょ)」でも解説されているほど、歴史の長い遊びなのです。
「にべもない」「しっぺ返し」は、漢字の表記もあまり知られていない言葉だったのではないでしょうか。語源とともに漢字も調べてみるとおもしろいかもしれません。
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