当て字|「トウモロコシ」「アボカド」 日本で人気になった海外発の食材
外国の言葉を日本に定着させたり、生物に日本語の名前(和名)をつけたりするために、先人たちはさまざまな工夫をしてきました。代表的なのは、漢字の音から転用したり、意味から転用したりする「当て字」。当て字の由来を探れば、思わぬ知識を得られることも。 今回は、日本で人気になった海外発の食材「トウモロコシ」「アボカド」の当て字をご紹介します。
外国の言葉を日本に定着させたり、生物に日本語の名前(和名)をつけたりするために、先人たちはさまざまな工夫をしてきました。代表的なのは、漢字の音から転用したり、意味から転用したりする「当て字」。当て字の由来を探れば、思わぬ知識を得られることも。
今回は、食物として日本にやってきた植物にまつわる当て字をご紹介します。
ポルトガル渡来の穀物
■トウモロコシ
トウモロコシといえば、焼いたりゆでたり、料理の材料に使ったりと、日本の食卓ではおなじみの穀物。定着しすぎて日本古来のものであるような気もしますが、実は16世紀にポルトガル人によって伝えられました。トウモロコシを漢字ではこのように書きます。
トウモロコシ / corn(米) maize(英)
ちょっと難しいこの漢字。いったいどうしてこの字があてられたのでしょう。
トウモロコシが渡来するより先、中国から「モロコシ(蜀黍、唐黍)」と呼ばれるイネ科の穀物が入ってきました。現在では「タカキビ(高黍)」といったほうが通りがいいかもしれません。自然食志向の方や、ベジタリアンの方に人気の食材で、外来語の呼称として「コーリャン」とも呼ばれます。
▲タカキビ
その後ポルトガル人によってもたらされた新しい穀物は、先に中国からきた「モロコシ」に似ていたので、「唐(舶来の意)のモロコシ」という意味で、トウモロコシと名付けられました。しかし、漢字で「唐蜀黍」「唐唐黍」では意味が重なってしまいます。そこで、トウモロコシには「玉黍(タマキビ)」という別名もあったため、「玉」を用いて「玉蜀黍」となりました。
ちなみに、トウモロコシのことを「トウキビ」と呼ぶ地域もあります。漢字で書くなら「唐黍」。本来ならばタカキビの名称だったはずですが、すっかりトウモロコシのことを指すようなりました。
ちなみに、玉蜀黍は秋の季語。つやつやと金色に美しく並ぶトウモロコシの粒は本当に玉のよう。冷凍品など加工品が一年中食べられるとはいえ、やはり、旬にいただきたい食べ物ですね。
あの爬虫類に似ていると名付けられた
■アボカド
メキシコ、中央アメリカ原産の植物「アボカド」。黒っぽい皮の見た目を裏切り、カットすると、明るい緑色の果実が現れます。独特のコクがあっておいしく、メキシコ料理でよく使われるほか、日本でも「森のバター」などと呼ばれ、人気の食材です。
アボカドは英語でavocadoと書きます。アボカドは「アボガド」とも表記されますが、英語表記からすると、「アボカド」が近いですね。現在ではそのまま日本語化していますが、実は、意外な和名を持つのです。
ワニナシ / avocado または alligator pear
アボカドの皮の黒くてゴツゴツした様子がワニの肌に似ていることからついた名前のようです。実はアボカドの英語での別称として「alligator pear」という言葉があり、直訳して「鰐梨」という言葉ができたともいわれています。一般的にはあまり使わない「ワニナシ」という言い方ですが、アボカドを図鑑などで調べると「クスノキ科ワニナシ属」とされており、今もその「和名」は生きています。
洋梨に似たコロンとした愛らしい形、中の美しい緑色を知っている人にとっては、アボカドと恐ろしい爬虫類、ワニとはすぐにはつながりませんが、初めてこの果実を見た人にとっては、ゴツゴツとした外見はなんとも奇妙に見えたことでしょう。
アボカドには脂肪分が含まれていますが、うれしいことにそのほとんどが善玉と呼ばれる不飽和脂肪酸。ビタミンEも多く含まれており栄養豊かな食品です。あらためて、アボカドを手に取って、名前の由来を思いつつ、味わってみてはいかがでしょうか。
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