世界遺産|琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄県)
沖縄県はかつて琉球王国として栄え、東南アジア諸国と盛んに交易し、独自の王朝文化を築いていました。ユネスコ世界遺産の「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、その琉球王国の史跡群からなっています。今回は識名園(しきなえん)から有名な石畳の道を経由して、首里城を訪ねる散策ルートをご紹介します。本土とはまったく異なる時間を過ごしてきた琉球、その歴史の一端に触れる旅に出かけてみませんか。
目次
沖縄県はかつて琉球王国として栄え、東南アジア諸国と盛んに交易し、独自の王朝文化を築いていました。ユネスコ世界遺産の「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、その琉球王国の史跡群からなっています。今回は識名園(しきなえん)から有名な石畳の道を経由して、首里城を訪ねる散策ルートをご紹介します。本土とはまったく異なる時間を過ごしてきた琉球、その歴史の一端に触れる旅に出かけてみませんか。(画像は首里城「本殿」)
オススメ散策ルート
↓
徒歩約20分(1.5km)
金城町石畳道(きんじょうちょういしだたみみち)
↓
徒歩約1分(110m)
内金城嶽(うちかなぐすくたき)
首里金城町の大アカギ
↓
徒歩約10分(650m)
首里城
徒歩約31分(約2.2km)
コースタイムや距離は目安です。
琉球国王の本宅(首里城)と別邸(識名園)をつないで散策するルートです。小さな橋や美しい造形の石畳道、涼やかな木陰の道と変化に富んでいます。途中、上り坂が続くので、履きやすい靴でのんびりと歩きましょう。もしかしたら、王家一族もこの道を歩いたかもしれませんね。
知っておきたい前知識 琉球王国の“グスク”とは何のこと?
画像提供:(c)沖縄観光コンベンションビューロー
平成12年にユネスコ世界遺産に登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、首里城をはじめとした5つのグスクと、識名園など4つの関連遺跡、合計9つからなる文化遺産です。「グスク」とはあまり聞き慣れない言葉ですが、いったいどんなものなのでしょうか。
グスクは13世紀ごろから沖縄各地に現れた按司(あじ)と呼ばれた地域の実力者の要塞として発展し、次第に按司が本拠をおく居城になっていきました。グスクは「城」と書いてグスクと発音し、一般的には城郭と解釈されています。グスクの城壁は本土の直線的な石垣に対し、美しい曲線を描くように建てられているのが特徴です。
しかし、本土の城郭と違う点は、その見た目だけではありません。城内には御嶽(うたき)や拝所を擁し、今も聖地として信仰されています。また、石垣もない御嶽だけのグスクも多く、グスクとは神聖な場所のことではないかとの説もあり、解明されていない部分が多いようです。
御嶽…山や岩、巨木などで、神、もしくは神が降臨するといわれる場所のこと。
画像は首里城内の首里森御嶽
日本と中国の不思議な融合「識名園」
画像提供:(c)沖縄観光コンベンションビューロー
識名園はかつて琉球王家最大の別邸があり、海外からの賓客の接待にも使われた場所。庭園は池を中心として巡る「回遊式」です。池に浮かぶ島には中国風の建物「六角堂(画像右)」、石橋も中国風と、日本庭園の様式に異国の様式が盛り込まれた、琉球独特の不思議な統一感があります。
園内にはさまざまな見どころがありますが、ちょっと驚くのが「勧耕台(かんこうだい)」。これは展望台なのですが、沖縄の海がまったく見えません。これは中国の賓客をおもてなしする際に、沖縄は大陸のように(海が遠く見えないほど)広いとアピールするためだったのだそう。(画像は勧耕台からの眺め)
識名園は沖縄戦で首里周辺とともに大打撃を受けました。しかし、約20年の期間と多額の費用をかけて修復され、世界遺産に登録される前に特別名勝(※)にもなっています。
※特別名勝…名勝とは日本の文化財の種類のひとつ。特別名勝は、そのなかでも特に価値が高いとされるもののこと。
金城町石畳道をゆっくりと歩いて「大アカギ」へ
画像提供:(c)沖縄観光コンベンションビューロー
識名園から1.5kmほど歩けば、金城町石畳道の入り口に到着します。かなりの勾配が続くので、道のりは美しい造形の石畳を楽しみながらマイペースにゆっくりと歩きましょう。坂道の終わり近くで、「内金城嶽・金城町の大アカギ」と記してある石碑があります。内金城嶽は沖縄の神聖な御嶽のひとつです。
画像提供:(c)沖縄観光コンベンションビューロー
内金城嶽は森全体が信仰の場であり、突き当たりには拝所があります。そしてそのそばには、樹齢200年以上ともいわれるアカギの木が6本。このアカギの群生は国の天然記念物指定です。一番大きなアカギの根元には自然の空洞ができており、祠になっています。願い事をすれば、1年にひとつだけ叶えてくれるという言い伝えも。一番叶えたい願い事をひとつだけ、祠に願ってみてはいかがでしょうか。
沖縄県内には、一見すると石ころに見えるようなわかりにくい場所や、島全体が御嶽となっている場所など、数百の御嶽があるといわれています。地域の方が大切に守っている御嶽は、観光客は立ち入れない場所も少なくありません。そんな中、こちらの御嶽は観光客にも寛容な場所。厳かな気持ちで訪ねましょう。
琉球文化の象徴、最大のグスク「首里城」
首里城がいつ築かれたかについては説が分かれますが、琉球王国の成立前、3人の王(三山・さんざん)が支配する三山時代に、三山を統一した尚巴志(しょうはし)が1422年ごろに築城したというのが定説となっています。
画像提供:(c)沖縄観光コンベンションビューロー
2000円札に描かれている守礼門(しゅれいもん・上画像)をくぐれば、目の前が首里城。沖縄戦で首里城やその周辺は破壊され、世界遺産に登録されているのは辛うじて残った基礎の部分のみです。戦後の復元作業は数少ない図面や写真を駆使し、遺構に沿ってコツコツと長い年月をかけて忠実になされました。
首里城は三方を丘に囲まれ、一方を平地や海に開き、両側には川が流れるという風水思想で理想的な場所にあります。グスクは西向きに造られており、国王が正殿に座ることで、家臣は東から昇る太陽と王を拝す位置関係になっています。また、大きく花開いた往時の琉球文化を未来へ伝えるため、国営沖縄記念公園として整備が進められています。
一年中温暖な気候で、美しい海に囲まれた沖縄県は、いまや常夏のリゾート地として大人気です。しかし少し視点を変えてみると、どこか異国のムードが漂う、かつての琉球王国を感じることができる地でもあります。リゾートとはちょっと表情の違う、沖縄の旅を満喫してみてはいかがでしょうか。
※掲載されている情報は平成30年1月現在のものです。
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