
世界遺産|世界文化遺産・白川郷(岐阜県) 秋は紅葉とコスモス、冬は雪景色が郷愁を誘う
世界遺産にも登録されている「白川郷・五箇山の合掌造り集落」とは、岐阜県の北西部より流れる庄川の流域、岐阜県高山市と白川村にまたがっているあたりのこと。秋は紅葉とコスモスが鮮やかで、冬はライトアップされた雪景色が幻想的です。周囲を山に囲まれた環境と、日本の原風景を今に伝えるようなその佇まいから、平家の落人伝説で知られる宮崎県椎葉村や徳島県祖谷山村(現・三好市)と並び、日本三大秘境とも称されています。
白川郷とは、岐阜県の北西部より流れる庄川の流域、岐阜県高山市と白川村にまたがっているあたりのこと。周囲を山に囲まれた環境と、日本の原風景を今に伝えるようなその佇まいから、平家の落人伝説で知られる宮崎県椎葉村や徳島県祖谷山村(現・三好市)と並び、日本三大秘境とも称されています。
世界文化遺産として知られる合掌造り集落

白川郷付近は豪雪地帯であることから、昔から雪の積もりにくい大きな三角の茅葺き屋根をもった家屋が建てられています。その両手を合わせて合掌するかのような姿から、「合掌造り」家屋と呼ばれてきました。
現在114棟あるこの合掌造り集落(荻町集落)は、平成7年に「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の名で世界文化遺産に登録。ちなみに、五箇山は白川村と接する富山県南砺市にある地域。菅沼集落と相倉集落、併せて30棟あまりの合掌造り家屋が残っています。
合掌造りの家屋の中は、厳密には2階建てながら、屋根裏などを含めて3~4層のスペースがあります。白川郷には独特の大家族制度があったため、何世代もの家族が1つ屋根の下に住み、また家の中で営まれる養蚕業に携わっていました。この大きく広い家1棟には、おおむね20~30人もの人々が暮らしていたといわれます。

江戸時代に名主を務めた名家で、国の重要文化財となっている「和田家」の家屋、和田家から分家して酒造業を興したという「神田家」の家屋(写真)など、屋内の様子を一般公開している合掌造りの家屋もあります。また、展示館や資料館、美術館、休憩所として利用されているものも多数あり、当時の暮らしや産業について知ることができます。
秋はコスモスや稲穂の揺れる風景とどぶろく祭りでにぎわう

秋口の白川郷では、黄金色に実った稲穂や乱れ咲くコスモス、たわわに実った柿の木など、秋晴れの空に映える自然の魅力で合掌集落があざやかに彩られます。稲刈りが終われば稲を干す“はさ掛け”が集落のあちこちで見られるなど、昔ながらの農村の秋が感じられます。
また、10月に入ると四方を囲む山の木々が色づきはじめ、やがて里の木々も色づく紅葉の季節に。高く伸びるススキと燃えるような紅葉の中に並ぶ合掌造りの家々もまた、他にはない絶景です。

白川郷各地で9月から10月にかけて開催される秋祭り「どぶろく祭り」。山の神様に、豊作や家内安全、里の平和を願う祭礼です。神社で独自の技法をもって作られたどぶろくがお神酒として捧げられ、奉納の儀式を終えると、どぶろくは来客に振る舞われます。
獅子舞を従えた神輿が練り歩き、民謡、郷土芸能などの奉納もある華やかなこのお祭りには、村外からも多くの人が訪れます。
冬は雪景色の中、幻想的なライトアップが

例年12月下旬から3月にかけて、豪雪地帯でもある白川郷と周囲の山々は雪ですっぽりと包まれます。茅葺き屋根の上にこんもりと雪が積もり、軒先につららが下がる風景は、まるで昔話に出てくる雪国の村のよう。また、近年は年に数日だけ合掌造り集落がライトアップされる「白川郷ライトアップ」イベントも。ほのかな灯りが作り出すどこか懐かしい、幻想的な雰囲気から人気となっています。
村を見下ろす高台、かつての山城跡からほど近い場所には、「荻町城跡展望台」(冬季は閉鎖)と、近隣のお食事処が無料開放している「城山天守閣展望台」の2つの展望台があり、合掌造り集落を一望できるビューポイントとして多くの人が集まっています。合掌造りの家屋を見学した後は、集落全体の美しい佇まいを眺めに、足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
※掲載されている情報は平成29年8月現在のものです。
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