野菜の豆知識｜「豆苗」は栄養満点、育てて再収穫の楽しみも

「豆苗」は、新芽を野菜にしたスプラウトの一種です。価格が安定しており、淡白でさまざまな料理に使いやすい味や再収穫できるという特徴から、広く食卓にのぼっている野菜です。今回は、豆苗の基本的知識や栄養、再収穫のコツなどを解説します。

あらためて「豆苗」とは？

豆苗とは、えんどう豆の若い葉と茎を食べる野菜です。えんどう豆をこのように若いうちに食べるのは中国にルーツがあり、日本に伝わったのは1970年代に日中国交正常化してからのこと。それからしばらく、豆苗は中華料理の高級食材として扱われていたのみでした。

1990年代半ば頃から日本で水耕栽培の豆苗が生産されるようになり、現在は1年を通して安定した価格で入手できるようになっています。シャッキっとした歯ごたえと淡白で使いやすい味であることに加え、天候で価格が変動しにくいことや栄養価の高さなど、さまざまな特徴を持つ野菜です。

なかでも豆苗の大きな特徴は、一度収穫しても再生するということ。葉と茎を食べ終えて残った根を水に浸すと新しい芽が伸び、7～10日ほどで再収穫が可能です。これは、豆苗が成長の早いえんどう豆の若芽であるためで、葉と茎を切ってもすぐに次の芽が生えてくるからです。

実は緑黄色野菜！豆苗の栄養

豆苗は、厚生労働省で定める「原則可食部100グラムあたりのβ-カロテン含量が600マイクログラム」の基準を満たした、緑黄色野菜のひとつ。β-カロテンは抗酸化作用や老化予防効果が期待できるほか、体内でビタミンAに変換されるため、目への健康効果も期待できます。

また豆苗は、栄養バランス抜群の食材です。50グラムで、成人女性が1日に必要な量を超えるビタミンKを摂取できます。ビタミンKは骨の形成をサポートし、骨粗しょう症予防効果が期待できます。さらに、赤血球の形成を促す葉酸、抗酸化作用を持つビタミンAやビタミンCも、1日に必要な量の約70％を摂取できます。

さらに、豆苗は元々えんどう豆なので、緑黄色野菜でありながらたんぱく質が豊富な点が大きな特徴です。また、同様の理由でビタミンB群も多く含まれています。

豆苗のおすすめの食べ方

β-カロテンやビタミンKは、油に溶けやすい脂溶性の栄養素。これらの栄養素を多く含む豆苗は、油と一緒に摂取すると吸収率をアップできます。脂溶性ビタミンを効率よく摂取するには、油でサッと炒めたり、オリーブオイルなどのヘルシーな油のドレッシングと一緒に食べたりするのがおすすめです。

豆苗に多く含まれるビタミンAやビタミンCは、免疫力を高めるといわれる栄養素です。同じ健康効果が期待できる亜鉛と合わせると免疫力アップ効果が期待できるので、亜鉛を多く含む卵や牡蠣、油揚げが、豆苗との組み合わせにおすすめの食材です。

豆苗を上手に再収穫するには？

豆苗は、食べた後の根から再生が可能な野菜ですが、上手に再収穫するにはコツがあります。

■脇芽を残してカットする

まず押さえておきたいのが、「脇芽(わきめ)」を残しておくこと。脇芽とは、成長途中にある小さな葉っぱのような芽のことです。豆苗を食べる際に脇芽までカットしてしまうと、再生時の成長が遅くなってしまいます。豆苗には根から3～4センチ程度上の部分に脇芽が二つあるので、必ずこの二つの脇芽を残した状態で茎をカットするのが第一のコツです。再収穫しないのであれば豆から約2センチのところで切っていいですが、再収穫する場合はもう少し上の3センチ上のところでカットして脇芽を残しておきましょう。

■水は入れすぎず根が浸かる程度に

豆苗の根は、浅めの容器に入れて育てます。豆まで水に浸かると傷みやすくなるので、水を根が浸る程度に入れておきましょう。新しい芽が伸び、7～10日程度で食べられるまでに成長します。水に入れっぱなしにしていると、カビや腐敗、藻が発生するなどのトラブルが発生しやすくなる点に要注意。水は1日1回、夏は水温が上がりやすいので、できるだけ1日2回は交換しましょう。

脇芽を残していても、豆苗が再生できるのは2回程度。それ以降は栄養価が落ちる上、脇芽がなくなるので成長も遅くなってしまいます。そのため、豆苗の再生は2回までが目安です。

豆苗はリーズナブルながら栄養満点な緑黄色野菜で、しかも食べ終わった後再収穫も楽しめるのが魅力。再収穫するにはいくつかのコツがあるので、今回ご紹介した方法を参考に、自分で育てた豆苗を味わってみてはいかがでしょうか。