
野菜の豆知識|ホクホクの食感とほのかな甘味「ユリ根」の食べ方
お正月料理や茶わん蒸しなどに使われる「ユリ根」。下処理に手間がかかりそうなイメージがありますが、実は洗って1枚ずつはがすだけで簡単。今回は、ホクホクの食感とほのかな甘味が特徴の冬の味覚「ユリ根」の食べ方や栄養などについてご紹介します。
お正月料理や茶わん蒸しなどに使われる「ユリ根」。下処理に手間がかかりそうなイメージがありますが、実は洗って1枚ずつはがすだけで簡単。今回は、ホクホクの食感とほのかな甘味が特徴の冬の味覚「ユリ根」の食べ方や栄養などについてご紹介します。

「ユリ根」とは

ユリ根とは、その名の通りユリ科の植物の球根部分のこと。市場には、コオニユリという品種のユリ根が出回っています。高温多湿を嫌い、冷涼な気候を好むユリ根。現在は約99%が北海道で生産され、そのうちの60%以上が関西圏で販売されています。
ユリ根は12月から2月に旬を迎えます。鱗茎(りんけい)が花びらのように幾重にも重なっていることから、「歳を重ねる」や「和合(仲がよいこと)」に通じる吉祥の象徴とされ、お正月料理にも重宝されています。
ユリ根は花が咲くと根に栄養が行き届かなくなるため、開花する前に花のつぼみを摘み取ります。傷つきやすく、日光に当たると変色するので、摘み取りを含めほとんどの作業が手作業。植え付けから収穫できるまで4年から6年かかり、手間暇かけて大事に育てられています。
そんなユリ根は栄養がたっぷり。たんぱく質が豊富で滋養強壮によいとされ、古くから漢方薬にも使われてきました。さらに、グルコマンナンという食物繊維を含み、便秘やむくみ解消に役立つといわれています。血液を下げる効果があるカリウム、ほかにも鉄、リン、カルシウムなど、食材から摂りにくい栄養素も含まれています。
実はこれだけ!ユリ根の下処理

おがくずに包まれて販売されていることが多いユリ根。下処理が大変そうなイメージがありますが、実は簡単です。まずは水道水で汚れやおがくずを洗い流し、ユリ根の外側から鱗片を1枚1枚丁寧にはがしていきます。途中、根が出てきたら包丁で切り落とし、さらにはがします。バラバラになった鱗片の汚れを再び水洗いし、変色している部分を切り落としたら完了です。
ゆでても焼いてもおいしい、ユリ根の食べ方

ユリ根を食べるのはお正月料理や茶わん蒸しで、という人が多いかもしれません。しかし、ホクホクとした食感とやさしい甘味が魅力のユリ根は、おみそ汁の具にしたり副菜にしたりと、気軽にいただける食材です。
■ユリ根のおみそ汁
鍋にだし汁と下処理をしたユリ根を入れて強火にかけます。沸騰したら弱火にし、ユリ根に火が通るまでゆでます。味噌を溶き入れ、豆腐や万能ねぎなどお好みの具を加えます。
■ユリ根のかき揚げ
下処理したユリ根とエビ、ざく切りにした三つ葉を、薄力粉と卵、冷水、塩少々をかき混ぜてつくった衣にからませます。160℃ほどに熱した油でカラッと揚げたらできあがり。塩や天つゆをかけていただきます。
■ユリ根のフライパン焼き
ユリ根を下処理し、タマネギ、ピーマン、ハムをスライスします。フライパンに油を熱し、ユリ根を敷き詰め、フタをして蒸し焼きに。ユリ根が透き通ったら、タマネギ、ピーマン、ハムも加え、ピザ用チーズを散らして溶けるまで焼きます。お好みでタバスコをかけるのもおすすめです。
薬膳から見たユリ根の効能

栄養価の高いユリ根は、中医学では古くから「百合(ひゃくごう)」という生薬や薬膳にも使われてきました。薬膳から見たユリ根は、味は甘く、性質は温・寒のどちらにも偏らないという分類。肺と心にアプローチするといわれ、のどの乾燥や咳を緩和する、肺を潤す、イライラを抑える、良質な睡眠などに効能があるとされています。
実は下処理が簡単で、ホクホクとおいしく栄養価が高いユリ根。お正月料理にだけでなく、おみそ汁の具や副菜として毎日の食卓に気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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