入浴法を見直して健康になろう！

長寿大国となった日本。大きな病気にかかることなく、健康なまま長生きしたいのが本音です。そんななか、「毎日の入浴習慣により、3年後に要介護になるリスクが29％低下する」という研究結果が明らかになりました。ここでいう「入浴」とは、シャワーで体を洗い流すことではなく、浴槽に張った湯に浸かることを指します。実は、浴室に浴槽が設置されていて、毎日入浴する人が多いのは、世界的に見ると日本だけなのです。世界トップクラスの「お風呂先進国」の文化は、医学的な調査からも高い健康効果が認められました。

さまざまな健康効果がある入浴の、代表的な5つの作用をご紹介します。

温熱により体が温まると、血管が拡がり心臓の働きが活発になり、血流が良くなることで体のすみずみまで血液が行き渡ります。

お湯の水圧により、むくみを解消します。

水中では浮力がはたらくので、筋肉や関節をゆるめてリラックス状態になります。

暖かいお湯に浸かることで毛穴が開き、汚れや余分な皮脂が流れ出ます。

浴室内で「長い深呼吸」をすることで、鼻やのどの粘膜に湿り気を与え、免疫力を保持します。

※持病がある人や健康に不安がある人は、医師に相談しましょう。

暖かい部屋から寒い部屋に移動すると、熱を逃がさぬよう血管が急激に縮小するため、血圧が急上昇します。とくに冬場の入浴では、気温差を作らない工夫が必要です。
脱衣所はあらかじめ暖め、リビングとの温度差を5度以内に保ちましょう。浴室では浴槽のフタを開けておいたり、シャワーでお湯を2～3分ほど出しておいたりすることで、湯気により室温が上がります。
また、急にお湯に浸かると体が驚いてしまうので、1～2分ほどかけ湯をします。手足の末端から始め、少しずつ体の中心に向かってかけるようにしましょう。

よくある3つの不調に合わせた入浴法を紹介します。 「日頃の健康を維持する入浴のコツ」でご紹介した5つのポイントを応用することで、より効果的な入浴になります。

※体調が悪いときや、体温が37.5℃を超えるときには、入浴は控えましょう。また、風邪のような症状であっても実は別の病気の可能性もあるので、主治医に相談してからにしましょう。

※入浴前に血圧測定し、160（上の血圧）/100（下の血圧）以上の場合は、体調不良を引き起こす可能性があるため、入浴は控えましょう。

温活は自宅のお風呂でも取り入れられますが、気分転換に行きたくなるのが温泉です。
温泉の魅力的な効果を紹介します。

日本で一番多い泉質は「単純温泉」です。「下呂温泉（岐阜県）」「鬼怒川温泉（栃木県）」などが有名です。「単純」というのは、「特定の成分が突出して多くない」という意味で、効果が薄いということではありません。湯触りがよくて刺激が少ないため、療養や強い疲労におすすめです。

次に多い「塩化物泉」も、日本中で楽しめる泉質です。「熱海温泉（静岡県）」などが有名です。塩分を含んでいるので、皮膚の表面に塩の被膜ができ、入浴後の保温効果に優れています。高齢者や病気の回復期におすすめです。

特徴的な匂いを放つ「硫黄泉」は、「草津温泉（群馬県）」「万座温泉（群馬県）」などが有名です。匂いの元となる硫化水素が皮膚から吸収され、血管を広げて血流を改善します。殺菌作用があるため、アトピー性皮膚炎や慢性湿疹などの皮膚疾患に効果的です。

毎日何気なくお風呂に入る人も多いと思いますが、今回ご紹介した入浴法を温活習慣に取り入れ、寒い季節も健やかに過ごしましょう。