
「冷え」と「乾燥」を防いで冬を乗り切ろう! ~後編(乾燥)~
乾燥についても、チェックリストをもとにセルフチェックをしてみましょう。今は症状がなくても原因や仕組みを学び、しっかり対策して寒い冬を元気に過ごしましょう。
教えていただいたのは

監修:川嶋 朗(かわしま あきら)
医学博士
1957年東京都生まれ。東京有明医療大学教授・一般財団法人東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当。北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院等を経て現職。漢方などの代替・伝統医療を西洋医学と統合した医療を手がける。『冷えとりの専門医が教える 病気を防ぐカラダの温め方』(日東書院本社)など著書多数
「乾燥」チェックリスト

「乾燥」の原因とメカニズム
成人の体重の約50〜60%は水分です。口から入った水分は腸で吸収され、血液などの「体液」となって酸素や栄養分を全身に運び、老廃物は体外に排出します。老廃物は主に尿や便として体外に出ていきますが、この時に多くの水分が失われます。呼気や汗によって排出する分も合わせると、人間は一日に約2.5Lの水分を失っているのです。
そのため、毎日食事で約1L、飲料で約1.2Lを目安に水分を補給※する必要があります。摂取量が少ないと体が乾燥して、肌をはじめ目や鼻などに様々な不調を引き起こします。
※過度、急激な摂取は禁物です。コップ一杯を目安にこまめに摂るようにしましょう。

「乾燥」をもたらす要因
乾燥の原因もまた日常生活の中に潜んでいます。特に冬は気づかぬうちに脱水症状に陥ることも多いので注意しましょう。
空気の乾燥
空気が乾く冬は、呼気や皮膚から水分が蒸発することが増えます。発汗の多い夏に比べて冬はそれを自覚しにくいため、気づかぬうちに水分不足ということもあります。

飲酒
アルコールには利尿作用があります。また、アルコールを分解するために水分を使うため、飲み過ぎは乾燥を促します。

長時間の機器の利用
湿度を下げるエアコンは肌や目、口(喉)の乾燥の原因となります。また、テレビやパソコンの画面を長時間見つめると、瞬きが減って目が乾燥します。

加齢
加齢にともない体液を多く貯蔵する筋肉の量が減り、また腎機能が低下することで老廃物の排出に多くの水分が必要になるため、乾燥しやすくなります。

「乾燥」が招く体の不調

「乾燥」の悪影響はこんなところにも
粘膜の機能が低下…ウイルスが侵入
体内の水分が不足して乾燥すると、血液がドロドロになって流れが悪くなります。そして、体に侵入してくる異物を排除する白血球にも影響をおよぼし、ウイルスや細菌から体を守る力が弱まってしまいます。
また、鼻や喉は空気中の異物を防ぐため粘膜で覆われています。乾燥すると粘膜の機能が落ちて細菌やウイルスが侵入しやすくなり、感染症などの病を引き起こす原因となります。
病気に負けないためには水分補給が大切。インフルエンザウイルスは多湿を嫌うため部屋の湿度を50〜60%に保つことも有効です。
冬の健康2大トラブルのもと「乾燥」対策
乾燥対策に最も重要なのは水分補給です。日々の生活に上手く取り入れて、乾燥知らずの体を手に入れましょう。
水分はこまめに取ろう
乾燥を防ぐには飲料で一日約1.2Lの水分補給が必要。ただし、一度に飲むのはコップ一杯分を目安に、過度・急激な摂取は禁物です。こまめに飲むことを意識しましょう。

水分を取る時は、常温や温かい飲み物を選びましょう。 おすすめは白湯。特に朝起きて飲むと体が温まるうえ、胃腸の働きを活発にして代謝がアップします。

水分補給に効果的な食事を
食事からの水分補給も重要。栄養バランスの取れた規則正しい食生活が乾燥から身を守ります。特に、スープや味噌汁、煮ものなど水分の多い料理を意識的に取り入れるとよいでしょう。果物も水分を多く含んでいるのでおすすめです。

保温・保湿をしよう
一般的にウイルスは低い温度・低い湿度を好みます。ウイルス対策には室内の気温20℃以上を目安に、湿度は加湿器を用いるなどして50~60%を保つといいでしょう。肌は乾燥すると荒れたり、かゆみが生じたりします。 洗顔や入浴で皮脂を洗い流した後は保湿クリームなどでケアをしましょう。また、外気にさらされると乾燥しやすいため、外出前の肌の保湿も忘れずに。
マスクに保湿効果も
マスクの着用は細菌やウイルスの侵入を防ぐだけでなく、口元の保湿にも効果的です。ただ、長時間着用するとムレや摩擦が生じたり、外した時に急激に水分が蒸発したりして肌が荒れることがあるので、外した後は肌の保湿も忘れずに。

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